第68話:イデンシゲートの外探索Vol.02

 数分後。


 「……よし、作り直したぞ。新しい探索用人形」


 残った素材を全て使い、再び人形を生成した。


「ふふふ、今度はさっきとは違うぞ。変態おん……じゃなくて、ルーミルの土人形の完成よ!」

「…………」


 なかなかの奇人具合……じゃなくて、強そうな女性が完成した。

 毎日一緒に生活しているから、より鮮明な人形に仕上げることが出来た。


「ルーミルも私ほどじゃないにしても、動きの良さは抜群だからね。さっきとは違う形で探索をしてくれるのではないかと期待しているんだ」


 同じ土人形を作ったところで、結局同じ結果になるのは目に見えている。

 引き続き探索を行うためには、変化を与えないといけないのだ。


「…………」

「…………」

「……おい」


 泥人形のくせに、私のスカートの中を覗くあたりは、流石の性格といったところか。

 どうせ毎日パンツを指定されているから、覗く以前に、色の素性はバレているのだけど。


「ほら、行った行った。スカートの中じゃなくて、イデンシゲートの外を見てくるのよ」

 

 しっしと手で追い払いつつ、ゲートの外へと追いやっていく。

 ……泥人形のくせに、性格が少々付随してしまうのは、些かデメリットだ。


 ……

 ……


 ともあれ、性能は確かだと言えるだろう。

 泥人形ルーミルによる探索開始する。


「さっきは入り口付近の雑魚悪魔のことしか調べられなかったから、せめて今回は、危なそうな悪魔を見つけて、動向とか生態とか、重要そうな情報収集に尽力しておくれよ」


 木の上から望遠鏡で泥人形ルーミルをたどりつつ、平行して悪魔の反応を伺っている。


「…………」

「…………」


「(……お、さっき私が始末したクラスの悪魔が泥人形ルーミルの様子を伺っている)」


 やはり人という形をした生物に対しての反応速度はとても早いな。

 イデンシゲート近くの悪魔はあらかた始末したというのに、もう十数体と集まり直しているようだ。


 感覚的本能が、人を毛嫌う受信電波でも保有しているのだろうか。

 数体の悪魔が音を立てぬように泥人形ルーミルを囲い初めて警戒を始める。


「…………」

「…………」

「…………」

「…………」


 先発は四体の悪魔が相手か。

 ルーミル人形を囲むように、悪魔達が陣営を組んでいる。

 こりゃぁ……悪魔達に集中砲火で大量のう〇こを投げつけられてしまうだろうなぁ……


 いやぁ、本当に残念だぁ!

 悪魔達から一方的に汚物をなげられまくって、全身がう〇こまみれになるルーミルなんて見たくなかったんだけどなぁ!


 でも、悪魔達はう〇こを投げるのが伝統的風習らしいし、通過儀礼になるのは仕方の無いことだよねぇ……


 ドキドキ……

 ドキドキ……


「…………」

「…………」

「…………」

「…………」


 ほら、投げるなよ。

 う〇こ、絶対に投げるなよ。


「…………」

「…………」

「…………」

「…………」


 止めるんだよ、絶対にダメだからな!


「…………」ビクビク

「…………」ビクビク

「…………」ビクビク

「…………」ビクビク


「だぁかぁらぁ……! さっさと投げろって心の中から言ってんだろうがぁぁぁぁ!!!! フリに気づけ!! フリに!!!」


「…………っ!」

「…………っ!」

「…………っ!」

「…………っ!」


 気がつけば、イデンシゲートの外に出て、悪魔の胸ぐらをつかんで顔面を殴りつけていた。


 ホゴッ!!!!

 ズギョ!!!!!

 ドグォ!!!


「普段のルーミルからの一方的な羞恥プレイを仕返しする絶好のチャンスだっていうのに、人を殺す悪魔が泥人間相手にビビってどうすんだよぉぉぉぉ!!!!」


 そう言いながら、ついでに他の悪魔も捕まえて、頭突きを与えてダウンさせる。

 逃げる悪魔もいたが、もちろん逃がすまいと頭突きで頭が陥没した悪魔を投げつけダウンさせる。


 殴る蹴るの暴行。

 理由が、う〇こを投げず、私の期待するファインプレーを実施してくれないから。


 客観的に見られたら、普通のクズに近い何かにしか見られないやつだと思う。

 でも、その憂さ晴らしの相手が人類の敵である悪魔だから、セーフということにしても良いよね?


 ……

 ……

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