0ヶ月 一週間、成長

 みくと二人で過ごすようになり、初めて経験することがありました。

 それは、お風呂です。


 赤ちゃんをお風呂に入れる、いわゆる沐浴と言うものですが、やり方は産院にて指導いただいていたものの、実践するのは初めてす。

 赤ちゃんの沐浴というと、赤ちゃんサイズの風呂桶を別途用意し、ぬるま湯につけながらガーゼ等で優しく拭いてあげる、といったイメージをもっていましたが、産院で教わった方法は違いました。 

 それは、

 シャワーで頭から足の先まで一気に洗い落とす

 という、大人顔負けの入浴方法でした。

 

 近年ではシャワーの水圧や温度調節機能も進歩しているため、汚れをよく落とすことができるシャワー入浴を推奨している、との産院の説明でしたが、資料映像でシャワーされている赤ちゃんはめっちゃ泣いていました。

 俺は気が引けてしまいましたが、産院で推奨するということは悪い方法では無いだろうと思い、とにかく実践してみました。


 風呂場の椅子に腰をかけた俺は、左腕と膝ででみくを抱きかかえながら、右手でシャワーを持ち、みくを洗おうと試みました。

 これが、まったくうまくいきませんでした。

 まず、みくの体をしっかりと安定させることができません。

 洗い始めは良かったのですが、泡のついた状態でしばらくすると、みくが俺の膝の上でツルツルと滑ってしまうのです。ちょっと気を抜くと、落としてしまいそうなほどでした。

 次に、右手の役割です。

 右手でみくを洗い、右手でシャワーをし、また右手でみくを洗い、また右手でシャワーをする。シャワーを置いたり拾ったり、何だか効率が良くありません。

 そんなこんなで無駄に時間を使い、また俺の焦った様子を敏感に察知したのでしょう。ついにみくは風呂場で泣き出してしまいました。

 一回泣き出したらもう止まりません。こんな状態で頭からシャワーをかけようものなら、水を飲んでしまいます。

 結局俺は、十分にみくを洗ってあげることが出来ずに、初めてのお風呂を終えることになってしまいました。


 風呂から上がっても、俺はずぶ濡れのままみくの体を拭き、保湿をし、服を着せ、そこでミルクを準備するのを忘れたことに気づき、泣いているみくを一旦置いて調乳を開始。

 情けないほどバタバタしてしまいました。みくに対する申し訳ない気持ちと共に、準備の大切さを痛感しました。



 次の日、みくを連れて手汗をかきながらハンドルを握り、ベビー用品店に向かいました。

 購入したのは、スポンジマットです。

 その夜さっそく、マットにみくを寝ころばせながら、シャワーしました。

 両手が空きますので、右手でシャワーを持ち、左手で体を洗ったり、水の当たり方を調整したりできます。

 みくの体勢を変えることも両手で安定させながら出来ますし、膝の上からみくを落としてしまう心配もありません。

 そしてまた、みくを仰向けに寝かせながらシャワーをすれば、みくの顔に水をかけることなく、頭を洗うこともできたのです。

 スポンジマット、本当に買って良かったです。むしろ必須だと思いました。

 みくは俺と風呂場に入るだけで泣きそうになっていましたが、結果泣かずにお風呂を終えることが出来ました。


 みくと二人で暮らし始めてから一週間が経ちました。

 俺はみくと一緒に、毎日成長しています。

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