第12話 鑑定99

 たくさんのフォロー、レビューをありがとうございます!

 レビューのほうは返信ができない?みたいなのでこの場を借りてお礼を言わせてください。

 本当にありがとうございますm(_ _)m


 引き続き、楽しんでもらえたら幸いです。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「やあ二人とも」


 午後の遊んでいる時間。

 エイミーと二人で外にいたら、ダンフがやってきた。


 ちょっとまって。

 熊って一般的に危険な動物なんだよね?

 なんでその熊であるダンフがこんなところまで来ているわけ?


「一体どうしたの?」

「みんなの家がどういうものなのか、見たくてこうして来たんだ」


 来たんだって……。

 というかよくこの家の場所が分かったね。

 熊って鼻がいいのかな?


「でも無事でよかったよ。お父さんやお母さんにもし見つかったらどうなっていたことやら……」

「アンディの親なら、入り口から入るときにあったぞ」

「えぇ!?」


 まさか堂々と正面から来たの!?

 というか、お父さんとお母さんはよく通したな!


「ここの人達は優しいな。普通なら皆怖がるんだが」

「もしかしたら僕たちがおかしいのかもしれない……」


 僕もそうだけど、僕の家族は少し危機意識が薄いのかもしれない。


「すごいな、人の家はこんなにもでかいものなのか……」

「そんなことないよ。この家に住んでいるのは確かだけど、僕が頑張ったわけじゃないから」

「そうなのか?」


 ダンフはきょとんとしている。

 子供が自分の力でこんなに大きな家を持っていたらすごすぎるよ……。


「この家は僕の御先祖様が頑張ったおかげで、今でもこんな大きな家で暮らせているんだ」

「ご先祖……。親のことか?」

「親のまた親、そしてそのまた親、それを繰り返して何十年何百年も前の話になるんだ」

「ほう…人はこうして言い伝えられるのだな」

「ダンフは違うの?」

「俺たち熊は弱肉強食。生きるので精一杯だ」


 僕たちとは違い、森では食うか食われるかの生活だ。

 僕たちのように優しい環境ではない。


「なんかごめんね……」

「いいんだいいんだ!俺こそ、こんなことを言ってすまない」


 ダンフは器用に前足を左右に振った。


「そうだ、これを預かってほしいんだった」

「なにこれ?」


 ダンフは大きな卵を渡してきた。

 卵は大きく、僕の体より小さいぐらい。

 よくこんなのを持ってきたな。


「何の卵?もしかしてダンフの?」

「俺は男だ!卵は産まない!それと、実は卵の中身は知らないんだ」

「えっ、どこからか取ってきちゃったの?」

「そんなことはしない。起きたら俺の家の前に置いてあったんだ」


 置いてあったのか…そんなこともがあるんだな。

 それで一体、これは何の卵何だろう?


 大きさ的に考えようにも、僕が知っている卵は鶏の卵ぐらいだ。

 こんな大きい卵なんて知らない。


 なんとなくだが、僕は卵に耳を当てて見た。


「音がしている……。もうそろそろ生まれるんじゃないのかな?」

「本当か!?ど、どうしたらいいんだ!?」

「どうしようアンディ!?」


 ダンフとエイミーは慌て始めた。


「落ち着いて!そうだな、とりあえず生まれやすいように床が柔らかいところに行こうか」


 それにしてもこの卵、重すぎる。

 本当はちっちゃいダンフが入っているんじゃないのか?


 僕たちは庭の草が生い茂っているところまで運んだ。

 その時だった。


「おっ、ひびが入ってきた」

「う、生まれるよ!?」

「だから落ち着いてって……」


 僕たちが騒いだところでどうしようもない。

 今は中の子供が頑張って殻を破るのを見守るだけだ。


「キュゥ」

「生まれたああ!!」


 卵を持ってきたダンフよりエイミーが一番喜んでいる。

 喜びのあまり、生まれてきた子を抱きかかえている。


 卵の中から出てきたのは成犬サイズの犬だった。

 なんで犬が卵から?


「珍しいこともあるんだな。犬が卵から生まれるなんて」

「僕もちょうどそう思っていたところなんだけど……」


 犬は哺乳類だから卵を産まない。

 でもこの子は卵から生まれてきた。

 一体どういう事なんだ?


「まあ、頑張って育ててくれ」

「えっ?僕が?」

「うむ、俺に他の種族の子育ては無理だからな。それに可愛いからいいだろう?」


 子犬とは言い難いけど、可愛いのは確かだ。

 僕はいいけど、他のみんな大丈夫かな?


「一応家で飼えるか聞いてみるよ」

「そうか、ぜひ頼む」


 それにしても、この犬の犬種は何だろう?

 生まれてからこの大きさってすごいよなあ。


 何か調べられるスキルとかあったら便利だけど……。

 確認してみるか。


「スキルオープン」


 今回は何がいいんだろう?


 動物なんてものがあるけど、これでいいのかな?

 それよりもっといいのがありそうだなあ。


 あった、鑑定なんてどうだろう?

 普通は骨董品とかに使うイメージだけど、試しにやってみようかな。


 鑑定を99にまで上げてっと。

 まずはダンフでも見てみようかな。


「ダンフー」

「どうした?」


 なになに、種族はハイベアーと。

 ハイベアー?熊の上位種なのかな?

 あ、しっかりとダンフのところに説明がでてきた。


 熊の上位種で合っていたみたいだ。

 どのぐらい強いかというと兵隊10人でやっと倒せるぐらい。

 それって結構強いよね。


「? どうした?」

「いや、何でもないよ」


 そういうふうには見えないよなあ。


 さて、生まれてきた子を見てみようか。


「エイミー、ちょっとその子見せて」

「いいよー!」


 近くでよく見ると、犬というより狼に近いかな。

 牙なんてもう立派に生えている。

 それじゃあ見てみようか。


 えっと、種族はフェンリル?

 ちょっとまって、フェンリルってあの伝説の?

 そんな馬鹿なこと――


「見間違いじゃない……」

「ガウッ?」


 見間違いかと思ったけど、やっぱりフェンリルと書いてある。

 そんな時、お父さんがやってきた。


「アンディ、それにエイミーちゃん。何をしているんだ?」

「ダンフが持ってきた卵からワンちゃんが生まれたの!」

「ほぉ!随分と大きい犬だな!」

「ワンッ!」


 お父さん、その子フェンリルなんですが。


「その子をここで育ててもらえないか?」

「ダンフ、と言ったっけか。しゃべる熊とは珍しいとは思っていたが、こんなにも可愛い犬を連れてくるとは……。いいだろう!うちで育てよう」


 ちょっと待って!

 受け入れるのが早すぎるよ!!


「お父さん、この子フェンリルみたいなんだけど……」

「あっはっはっ!アンディも冗談を言うんだな。そんな伝説の生き物がこんなところにいるわけないだろう、なあ?」

「ワンッ!」


 ワンッ!じゃないよ!!

 これなら調べずに普通の犬だと思って一緒に過ごしたかったよ……。


「くぅーん……」

「わっ!ちょ、危ないって!」


 フェンリルの子は急に僕へ乗っかり、顔をなめてきた。

 自分の半分ぐらいの大きさだから、急に来ると危ない。


「それでこの子は何ていうんだ?」

「ドラグノール!」

「ワンッ!!」

「ほぉ、ドラグノールと言うのか!」


 僕も初耳なんだけど。

 エイミーはもう名前を考えていたのか。


 ドラグノール、か。

 かっこいい名前だからフェンリルにはよさそうだな。

 なんだかんだで、ドラグノールは僕の家に住むことになった。


 こうして、僕の家に伝説のフェンリルがやってきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る