第49話
「雨はいいとして、問題はどこにでるかが分からないことだな」
問題は相変わらず解決していない。
だが、雨で無理やりにでも花を咲かせることができると分かった。
「また飛び回るにしても、近くにいた恐竜に取られて終わりだろうし……」
「ねえ、すぐに移動できるためにワープゾーンをつくるのはどう?」
「だけどそうなると量が多くなるぞ?」
「何も全部見る必要はないわ。場所を絞った方がいいと思う」
確かに場所を絞ったほうがその場所に出てきたときに取れる確率は高まる。
だけど、場所を絞るにしても、この広い荒野からどこを選べばいいんだ?
「今までの記録はあるかしら?」
「あるよ。はい」
さっき花の葉の部分を挟んでいた本だ。
これに今までの記録を書き記していたのか。
「この荒野の地図は間違いないのよね?」
「間違っていないよ。しっかりと確認しながら描いたからね」
両開きいっぱいに大きな地図が描かれていた。
周りの凸凹まで器用に描かれている。
「僕たちはどこにいるんだろう?」
「たぶん、この辺じゃないかな?」
来た方向と進んだ向きや距離で考えると、真ん中から少し外れているはずだから、その付近に指をさした。
「そうだね、確かに今いる場所はそこで間違っていないよ」
自信はなかったものの、合っていたようだ。
今いる場所が解決するために意味があるのかは分からないけど。
「もしかしたら……!」
ファラは指でたどりながらじっくりと地図を見始めた。
何かに気づいたのか?
「この横に書いてあるのって日付よね?」
「そうだよ。ところどころ分からない部分はあるけど」
「それでも十分だわ。これがあれば次に来る場所が分かるのよ」
「「「えっ!?」」」
そんな未来予知みたいなことができるのか?
「こうして書き記しておかないと一生手に入らなさそうね……」
「それでどうやってわかったんだい?」
「まずはさっきの花が咲いたこの場所をみて」
指をさした場所にはもう今日の日付が書かれていた。
「次にこっち、前回花が咲いた場所」
さっきとは反対の場所にある日付を指さした。
こんなにも離れているのか……。
「そして前々回、それはここよ」
ここ最近のはしっかりと全部記されていた。
場所は前回よりやや上らへん、結構近い。
とは言ったものの、実際の距離だと相当遠いだろう。
「少し飛んで半年前はここよ」
「そうだなあ……」
さっき咲いた場所と比べて随分と遠い。
場所は中心から遠く離れており、荒野のほぼはずれに位置している。
「そして1年前、それはここよ」
「今俺たちがいる近くじゃないか」
「そう、一年前はここの近くに咲いたのよ」
少しずつだが、ようやく分かってきたぞ。
だけどこの場所に咲く、とまでは言えないが。
「もしかして次は中心付近に咲くのか?」
「そういうことよ」
「なるほど、でもそれは難しいんじゃないのかな?」
「そのために移動用のワープゾーンをつくるのよ」
「えっと、どゆこと?」
俺とスロウは分かったが、メルはまだ分かってはいなかった。
「1年前は中心、そして半年前はほぼ荒野の外側に咲いたんだ」
「うん、それはわかったよ」
「そしてさっきはここ、ほぼ中心の近くだ」
「だから中心になるってこと?」
「ああ。中心から外側へ、そして外側から中心へと順番に咲いて行っているんだ」
分かれば単純、と言えるだろう。
だけど、それが分かってもまた新しく問題点は出てくる。
「問題はどの角度に咲くのかだ」
「角度?」
「大体の距離に咲くのは分かったが、咲いている場所は同じ距離でも円状のどこかなんだ」
「だから角度が分からないと見つけられないのに変わりはないんだよ」
角度はどれを見てもバラバラ。
これには法則など関係なく、本当に適当に咲いているようにしか見えない。
「それだったらあと1、2回見逃して次に備えたらどうかな?」
「まあ、それが一番だろうな」
そうすれば範囲もさらに狭まる。
あとは中心に移動し、咲くために何回か待つだけだ。
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1日3話投稿は今日までです。
後は1日1話か2、3日に1話を目安に書いていきます。
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