第48話
「恐竜の方は分かったが、花については他に情報がないのか?」
「あるにはあるよ。奇跡の花と言っても所詮花、雨が降らないと咲かないんだ」
大体の植物は水が必要だから、まあそうだよな。
日光の方は十分すぎるぐらいあるし。
「待って、この荒野に雨が降るの?」
「週に1回、最低月に1回雨が降るんだよ」
「じゃあその時がチャンスってことか」
「そういうこと!」
そうなると週に1回。
運が良くて1回目で採れる可能性があるけど、この広い荒野だとまずないな。
「そういえばこの荒野ってどれぐらい広いんだ?」
「およそ9万平方キロメートルだね」
それは、どれぐらい広いんだ?
まあ広いと言うことは分かった。
だが具体的な数字を言われても、いまいちパッとしない。
何か例を挙げられてくれればいいんだが、こっちの世界ので例を出されても分からない。
「どれぐらい広いんだろう……」
「北海道が丸々入るぐらいだわ」
「えっ、そんなに広いの?」
「というかよく知っているね!」
「前に一度気になって調べたのよ。たまたま覚えていたわ」
と言っても、普通覚えていられないでしょ。
流石魔法全部覚えているだけあるなあ。
「広すぎるけど、どこかで待っていればまた咲いたりするんじゃないのか?」
「葉っぱの場所から考えるに、まったく同じ場所というのはないね。近くても500メートルは離れているよ」
そうなると地道に待つのも無理なのか。
雨を狙って飛び回るのかあ。
もっといい方法がないだろうか。
「…あ、いい方法あった」
1つだけいい方法、と言えるかは分からないが思いついた。
「どういう方法なの?」
「
やることは簡単だ。
たくさんの
「でもけっこう使ううえに、量が多くて見きれるかしら?」
「それが問題なんだよなあ……」
9万平方キロメートルだと数を数えたくないぐらい必要だ。
「それなら別の法方がいいと思うわ」
「ねえねえ!もっと簡単な方法があるよ!」
「「「それは?」」」
「雨を降らせればいいんだよ!もっとたくさんね」
あぁ!普通にそうすればいいじゃん!
探す方ばっかりに目が行ってて気づかなかった。
「いい案だと思う、でもそれは無理だよ」
「なんでー!?」
「雨を降らせる魔法がないからだよ。だから無理なんだ」
そうか、忘れていた。
俺たちだと普通に考えていたが、俺たちの普通はこっちだと通用しない。
「俺たちは雨を降らせることができるんだ」
「何を言っているんだい?確かに人間ではない2人ならできそうだが、この世界ではできたという報告すら上がって来ないんだ」
「まあ見れば信じるだろう?」
「…まあ、見ればだけど」
まず見せたほうが早いだろう。
「じゃあいくぞ」
俺の合図に合わせてファラとメル、そして俺は魔法を唱えた。
「「「
魔法を使った瞬間に雨が降ってくる、というわけではなかった。
「ほらやっぱり、降るわけがない」
「まあまあ、見てなって」
少しずつだが、雲が動き始めた。
やがて雲が変わっていき、ポツポツと雨が降り始めた。
「ほらな?降ってきただろ」
「そんな馬鹿なことが……」
スロウは驚きのあまり、空を見つめている。
そこまで珍しいとは思わないけど。
「いや、たまたま今日だったとか……。違うな、2、3日前に降ったばかりだ。やっぱりこれは……」
そんな時だった。
たくさんの恐竜たちの足音、地響きが響き始めたのだ。
そして我に返ったスロウが話し出した。
「まずい!恐竜たちが動き始めた!」
「ということは……」
「ああ!花が咲いたかもしれない!」
実験は成功、というわけか。
まずいな、俺たちは恐竜たちと違って嗅覚がいいわけではない。
飛んで探すしかないのか。
「俺たちは先に飛んで探しに行く!」
「分かった!僕は下から走っていく。早く向かおう!」
俺とファラとメルは飛びながら、スロウは走って追ってきた。
飛んでる俺たちのほうが速いと思ったが、あまり差はなかった。
俺たちは恐竜たちが向かう先を予測し、先回りをするために急いだ。
ようやくその場所に着いたとき、俺たちはあるものを目にした。
「くそっ!もう花がない!!」
そこには花はなく、葉っぱの部分しか残ってなかった。
さっき見た葉っぱと全く同じだったからあっているはずだ。
「こんなにも採るのが早いのか……」
「そうだね。でもこれを繰り返せばすぐ手に入るかもしれないよ」
簡単に言ってくれるなあ。
まあ見つけるまで続けるつもりだが、これなら思っていた日より早く終わるかもしれない。
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