第15話
「大丈夫でしょうか?」
今は冒険所の奥の部屋。
受付の人もいてファラとメルのことを心配している。
「初日からそんな心配したら心臓が持たないよ?」
「初日?」
「仮にもドラゴンだよ?疲れたところを狙うのが普通なんだ。何日か掛かると思うけど」
そんなんにめんどくさいんだ。
ゲームだとそんなに継続し続けると制限がかかる。
だから大体長くても1時間で倒し終わる。
「まあすぐに戻ってくるよ」
「いやいやいや、そんなわけないじゃない」
「来るって、そろそろ聞こえてくると思うよ」
「「聞こえる?」」
その瞬間、外でズシンという音が響いた。
同時に建物も揺れた。
「地震!?」
「ただいまー」
「メルさん!?それにファラさんまで」
「さっきの音はまさか……」
「うん、アクアシャークドラゴンだよ」
受付の人とサリーさんは窓から外を見た。
そこには正真正銘アクアシャークドラゴンがいた。
あー、こいつか。
夏のイベントで倒しまくったのを思い出したわ。
「そんな馬鹿な……」
「偽物……じゃないよね?」
「マスター、こんな化け物の偽物をつくる人なんていませんよ」
そんな目を見開くほどなのか?
そいつぐらいならみんな周回していたぞ。
ざっと数えても100万体はお亡くなりになっている。
「これで終わりかしら?」
「随分楽だったねー」
「もう何が何だか……」
「私ももう嫌だよ。とにかくこれで終わり。特Sレベルの依頼ができてSレベルじゃないのはおかしいからね」
「では手続きをするのでお待ちください」
手続きは見れないらしく、ギルドの中にある机へ。
「「あっ」」
机に向かう途中、Bレベルのランドが座っていた。
でかくてすげえ目立つ。
他の席はみんなが座っているから空いていない。
しょうがない、立って待っているか。
「ディラさん!こちらの席をどうぞ!」
「えっ、いいのか?依頼の紙があるあたり話し合ってるんじゃないの?」
「大丈夫です!さあ、どうぞ」
そんな大きな声で言わないでくれ、周りがざわついてて恥ずかしい。
というか随分丸くなったな。
驚きの変化だよ。
「この前は失礼しました。俺はランドといいます」
「よ、よろしく」
何か、これはこれで怖いよ。
何かのボスになったみたいでなんか落ち着かない。
「ディラさん、先にですがディラさんの分が完成したのでお持ちしました」
受付の人がカードを持ってきてくれた。
何か学生証みたい。
書いてあるのは名前とSという文字。
「やはりSレベルを取りましたか」
「うん、珍しいんだろ?」
「はい、元々は7名いましたが8名になりました」
俺が8番目か。
いつも1番を目指していたけど、流石にこれは無理だな。
何せこの世界がいつからあるのかも知らないんだ。
「しかしこんな短期間でまたSレベルを取る方がいるとは」
「最近誰か取ったのか?」
「はい、この近くにある王国、ガルガンで出たそうです。たしか名前は……」
「ヴェル・ユーラスさんです。元1番隊隊長でした」
「1番隊?軍隊でもいるのか?」
「そうです。1から5まであり、5は情報、4は護衛、3は接近戦で2は魔法、そして1は全部できる者だけが集まります。俺は元々3番隊の兵士として入っていましたが、1番隊は別格です」
そんなところにいた隊長か。
少し興味がある。
「そのガルガン王国は近いの?」
「近いですが、いるとは限りませんよ。冒険者なので」
「そりゃそうか」
「そういえばディラさんの別名はないんですか?裏に書いてあると思うんですが」
裏を見てみると何か書いてある。
えっと、なになに。
「
まさかのかぶり。
こんなことあるか?
「ファラさんとメルさんのカードもできました。どうぞ」
「なんて書いてある?」
「破滅の堕天使」
「逆鱗の竜人」
「まんまだな」
「「違うわ(よ)!」」
戦っているときを想像すればピッタリなんだけどなあ。
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