第16話
「破滅の堕天使さん、逆鱗の竜人さん、今後の予定だけど」
「その呼び方はやめて」
「グサッと一発いく?」
「冗談です。ごめんなさい」
その槍でグサッとやられたらさすがの俺も危ない。
これはマジなやつだ。
「それで予定って?」
「さっきの話ででたガルガン王国に行ってみようと考えている」
「僕は構わないよ。いつもディラが考えているし」
「そうね、いつも振り回されるから構わないわ」
「納得してくれたのはうれしいけど素直に喜べない……」
もしかしてさっきの根に持っているの?
「あれ?もう行くの?」
「ええ、ヴェルっていう人に会ってみようかと」
「はあ、ヴェルといい君たちといい強い人は強い人しか見ないんだね」
「あ、あははは」
そこまで戦闘狂ではないと思うけど。
強い人に会いたいのはゲームの時からの癖かな。
自分より強いプレイヤーを探すために大会に出たのに優勝してしまったしな。
「行き先はわかるの?」
「いや、知らない」
「ディラさん、この町を東から出て森をひたすら真っすぐ歩けば一番早く着きます」
ランドくんが教えてくれた。
元兵士だから道を知っているみたい。
「森かぁ、それなら飛んだ方が早いけどめんどいな」
「なら乗っていく?」
「いいのか?」
「構わないわ。たまには呼んであげたいし」
さっそくガルガン王国へ行くために外へ。
外と言ってもこんな町の中だと危ないな。
「え?結局歩いていくの?」
「ちがうちがう、ここだと狭いから町の外に行くんだ」
「狭い?」
サリーさんは気になったみたいで一緒に街の外へ。
受付の人は仕事があって、ランドは話し合いの続きの為、冒険所に残った。
「ここなら大丈夫そうね」
「大丈夫なの?」
「心配なら俺の後ろに隠れていたら?」
「そうするよ」
小さいだけあって、俺の後ろに全身を隠せている。
頭だけ横からひょこっとだした。
この人がSレベルだとは思えないなあ。
「
魔法陣が浮き出ると、そこから一頭のドラゴンが出てきた。
色は黒色で俺たち人間から見れば大きい。
『お呼びですか、主様』
「へぇ、まさかそんな流暢に話せるなんてね」
ゲームでも一応話すことがあったが、大体片言。
こっちだと普通に話すみたい。
なんか後ろの人が震えている。
こっちまで振動が来るんだけど。
「どうしたの?」
「黒竜……」
『そちらの妖精の少女は誰でしょうか?』
「俺たちの上司みたいなもんだ」
『主様方の?面白いことを言いますね』
顔を俺の方、いや俺の後ろのサリーさんのほうへ近づけた。
「ひいっ!」
「なんでそんな怖がるの?」
「あの伝説のドラゴンよ!怖がらないほうがおかしいわ!!」
「えっ、こいつが伝説?」
『昔のことですよ』
そういえばイベントで伝説の黒竜って書いてあったような。
所詮ゲームの中の伝説だからと思ったけど結構強かった。
仲間にすることはできなかったけど、ファラだけはできていた。
一部の間だと「可愛いから黒竜が従った」とか噂されたけど、種族補正が一番の可能性となった。
だから俺とメルは出来ていない。
「大昔に消えて死んだと言われていたんだけど、まさかこんなところに」
「そんなに有名だったんだ」
『まだやんちゃをしていた時ですから』
「まさかだけど、伝説のドラゴンに乗っていく気なの……?」
「「「そうだけど?」」」
「……もう知らない。私は何も見ていない、そう!これはきっと夢なんだ!」
なんで現実逃避しているんだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます