第14話

「このあと同じような人が二人もいるのか……」

「ならルールを変えるというのは?」

「うーん、その方がいいかなあ。これじゃあ二人とも簡単に合格しちゃいそうだし」


 急遽変更。

 そんなことしていいのか。

 それ相応の難易度ならいいと思うけど。


「呼んだかしら?」

「今度は二人でやるの?」

「そうみたい。ただルールが変わるようだよ」

「よし、決めたわ!光映像ライト・ヴィジョン


 手を差し出すと手から光が出て、そこには映像が流れた。

 光だけのテレビ、3次元映像だ。


「これは水の闘神龍―アクアシャークドラゴンね」

「よく知っているね!こいつはここら辺の海で一番強い生物なんだ。そいつが暴れているせいで船が渡るのが危なくなっているんだ」


 アクアシャークドラゴン……。

 どっかで聞いたことがあるんだけど思い出せない。

 そんな奴いたっけかな?


「今回は二人で行ってもらって、討伐出来たら二人とも合格ね」

「俺は?」

「冒険所で待機!二人はこれを持っていって」

「地図?」

「そうだよ。海と言っても目撃情報の場所が分からないと倒せないでしょ?」


 元の世界でもゲームの世界でも海はどこも広い。

 「海にいます」と言われてもしらみつぶしにやっていくなんてばからしい。


「じゃあとっとと終わらせてくるわ」

「それじゃあ待ってねー!」


 二人は翼があるため、魔法を使わずに飛ぶことができる。

 俺はもちろん魔法がないと飛べない。


「じゃあ私たちは戻ろうか!」

「マスター、何もあのクエストはないんじゃないですか?」


 審判が下りてきてサリーさんに話しかけた。

 ない?もしかしてもうだれか依頼を受けているのか?


「あれは特Sレベル、過去に7名のAレベル冒険者が亡くなるほどの依頼ですよ」

「あの二人は大丈夫だと思うよ、ね?」

「ああ、何なら取り合いになるぐらいだ」


◆――――――――――――――――――――


「さっきのディラの表情」

「うん、絶対に忘れていたよね」


 森の上、翼が生えた二人が飛んでいた。


「アクアシャークドラゴンってあれよね。夏限定のイベントボス」

「そうそう!素材集め終わるまでに何回も倒したのに忘れているんだよ!」

「逆にすごいわよ」


 昔、TWFで夏イベントが開催された。

 その内容は新ボスモンスターの登場。

 しかも期間限定と来た。


 話をきいた3人はもちろん行くことにした。

 ただ、そこには問題があった。

 相手はNPC、規則性があるのだ。


「最後のほうなんて早く終わらせるためにガチ装備でいったもんね」

「物欲のせいで最終日までかかったわね」


 中でも確率を0.1%と表記された水龍の宝玉という家に設置できるアイテムがあった。

 それが「0.1%という名の0%」とまで言われたほど確率が低かった。

 入手したものは100人にも満たない。


「あんなに苦労したのに場所をとるからという理由で片付けたし」

「僕たちってディラに振り回されているよねー」


 飛んでいる間、二人は雑談をしていた。

 しかし、速度は速いため、話はそこまで長くはなかった。

 場所はすでに海の上。


「とうちゃーく!ここら辺にいるみたいだね」

「とりあえず探してみましょう。水中探索アクア・サーチ


 水中探索アクア・サーチは水中で探すときに最適の魔法。

 普通の探索サーチとは違い、水深などまで分かるから便利。


「いたわ。もう少し進んだ先の水中20メートルのところにいるわ」

「じゃあ行こっか。空気不要ノン・エア


 水中戦においては必須と言える魔法。

 使えなくても戦闘はできるが、その場合は息継ぎをしないといけない。

 それに相手は水深20メートルのところにいる。

 戻っていたりしたら時間の無駄だ。


 アクアシャークドラゴンのいるところまで行くとそこには巣があった。

 住処に着くとアクアシャークドラゴンは寝ていたが、二人が来ると同時に目が覚めた。


「ガルルルルッ」

「じゃあさっさと終わらせましょう」

「早くディラのところに戻りたいからね!」

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