第7話

「いいから降りてこいよ」

「くっくっくっ。そうだな、人間だと飛べぬからな。今行ってやろう」


 そういうと悪魔のうちの一体が降りてきた。

 スタスタと歩き、俺の前で止まった。

 悪魔は俺たちより大きい。

 2メートル以上ある。


「ほら、先に殴らせてやるよ」


 そういいながら俺の頭をはたいてきた。


「――んな」

「あ?何を言っているか聞こえねえぞ。ビビっちゃったのか?」

「触んなって言ったんだよ!」


 悪魔が言った通り、先に殴った。

 みぞおちに力を込めた一発。

 悪魔の腹は風穴があいていた。

 ステータスカンストしている者が力を込めたんだ。

 俺たちから見れば当たり前だ。


「ガフッ。なんだこれ……」

「なっ!?」「てめえ!」

「そっちの二体もかかってこいよ」


 風穴があいた悪魔は血を吐いて倒れた。

 二体の悪魔は仲間が死んだことにより、焦りを見せる。


「てめえ!!」

「まて!魔法を使ったほうがいい!」

「そ、そうだな。食らえ!影蛇シャドウスネーク!」


 この魔法、ゲームにもあったな。

 薄暗い今にこの魔法はとても厄介だ。

 なにせ元は影だから見えづらくてしょうがない。

 でも馬鹿だな。


「罠とかではなく直接縛るか」

「馬鹿め!これでもう動けまい!」

「馬鹿はおめえだよ。ふんっ!」

「なっ!?」


 影蛇シャドウスネークは俺に巻きつくも、ただの力技で解いた。

 使い方を間違えなければ強い魔法ではあるんだがな。


「でも所詮は魔法Lv.10程度。弱すぎる」

「馬鹿め!」

「今度は何?」

「もう遅い!灼熱圧縮砲スコーチング・ヒートレーザー!!」


 高熱をもったレーザー。

 当たればやけどどころではなく燃やしつくす。


「それでも魔法Lv.40。全然意味がない」

「そんなばかなっ!?」

「俺達の一番の魔法を手で受け止めただと!?」


 悪魔たちから見れば異常かもしれないが俺たちにしたらこれぐらいは当たり前。

 これでダメージを負っていたら魔法戦だとすぐに死ぬぞ。


「逃げるぞ!こいつはやばい!!」

「あら、逃げる気?」

「てめえは……さっきまで下にいた黒羽の女!」

「ファラという名前があるのよ、悪魔さんたち」


 悪魔が逃げようと言った瞬間、ファラは悪魔たちの進行方向へと飛んだ。

 瞬間移動したように見えるが、ただ飛んだだけ。

 目で追えたのは俺とメルだけみたいだ。

 俺に譲るって言っていたのに。


「いまさら逃げるなんておこがましいわよ。進行変更リフレクション

「な、なんでだ!?」

「なんで俺たちはあいつのほうへと飛んで行ってしまうんだ!」


 二体の悪魔は俺のほうへと飛んできた。

 わざわざ手間を省いてくれたのか。

 それならありがたく終わらさせてもらうよ。


「これでも魔法も使えるんだ。俺は満遍なく戦闘スキルを得ている」

「やめろー!!」「悪かった!許してくれ!!」

「村を襲ったんだろう?もう遅い。岩炎の渦マグマホール


 俺は悪魔たちの進行方向であるところに魔法を発動させた。

 といっても俺のほうだけど。

 使った魔法はマグマの渦を発生させる魔法Lv.80の魔法。

 中に入った者はマグマで溶けていくため、一回でも入れば脱出はまず不可能。

 脱出できるのはこの魔法以上の魔法を使う者ぐらいだ。


「「ぎゃああああ!!」」

「よく焼けるなあ……」


 悪魔はマグマに突っ込み溶けていった。

 ついでにさっきの風穴があいた悪魔も突っ込んでおこう。

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