第8話
「そんな……。Lv.1が悪魔を倒した……」
「これで依頼完了でいいかな?」
「は、はい。ありがとうございました」
呆気にとられているようで言葉が軽く聞こえる。
少しやりすぎちゃったかな?
「おーい、大丈夫?」
「す、すみませんでした!先ほど化け物と言ってしまい!いや、化け物はあっているかもしれませんが」
「「「おい」」」
とうとう本音を言いやがったぞ。
「申し訳ございませんでした。よろしければ報酬の前にご飯でもどうですか?」
「そういえば腹減ったな……」
「私も……」「僕も……」
そういうことで俺たちは村長の家へ。
ゲームの時はHP回復のために食事をしていたけど、今は実際に腹が減っている。
「村で取れた野菜のスープと芋の蒸かしです」
「懐かしい!始めたころ安かったからよく食べていたやつだ!」
「メル、貰いものだからそんなこと言っちゃだめよ」
「ごめんなさい!」
「いえいえ、このような森付近にある村だとこれが普通ですので」
これが普通か。
メルの言った通り、これは
でもやっぱり
「アイテムボックスとか残っているかな?」
「アイテムボックス?僕の魔法はアイテムボックスから取り出すから使えるんじゃない?」
「そういえばそうだったな」
ホントだ、アイテムボックスの項目がある。
確か今までの討伐クエストで手に入れた食材があったはず。
ゲーム内でも食事をすればそれっぽい味はしていた。
なんでそんなものをしっかり取っておいてあるのかというと、アイテムボックスを広げすぎたため。
ボックス拡張のアプデが入るとすぐに全部開けた。
あるアプデでほぼ倍ぐらい拡張できるようになったときに全部開けるということをしてしまった。
そのせいで未だに埋まってはいない。
あのときは結構金飛んだなあ。
「これなんかどうだ?雷猪王の肉」
「いいね!それおいしいから僕は好きだよ!」
「私も好きです。微量だけど魔力回復もあるし」
「雷猪王、ですと……?」
また呆気にとられている。
この村長ずっとポカーン顔でいいだろ。
「もしかして食べられない宗教とか?」
「そうではなく!雷猪王は即死するほどの電気を常に体に流しており、魔法で仕留めようにも雷猪王は速く、魔法を避けてしまいます。依頼でも特Sレベルですぞ!」
「その特Sレベルってなんすか?」
「えっと、冒険者では……?」
「ごめん、あのとき嘘ついた。俺たちは……そうだな、旅人だよ」
ゲームにおいてプレイヤーは基本自由。
冒険者はなく、NPC一体一体のお願いを聞くクエスト形式が多い。
よく間違われるギルドはただ同士が集まって一緒にクエストをするだけだ。
「それでしたら冒険者になってはどうでしょうか?明日冒険所がある町へ行きますので」
「どうする?」
「僕はなってみたい!」
「私もなってみたいわ。こっちの世界も見てみたいし」
「それなら言葉に甘えさせてもらおうかな」
「わかりました。明日の朝に出発します。本日はゆっくりお休みになってください」
その後、俺が出した雷猪王を食べ、俺たちは客用の部屋へと移動した。
ちなみに雷猪王は大好評。
また食べたいと言っていた。
「ファラってどうやって寝るの?」
「うーん、がんばって折りたたむしかないわね」
「気になるならディラも一緒に寝る?」
「あほ言うな!」
断ってしまった……。
一緒に寝ればよかった!
ああ、こんなチャンスもうないかもしれないぞ。
あ、特Sレベルについて聞くの忘れてた。
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