第2話

 手紙を開くと、ゲームのウィンドウには【承認】と【拒否】に2択がでてきた。

 先に他のギルドを全部拒否にして最後に黒狼の牙ダークウルフファングだけを承認した。

 すると、俺たちは待機部屋へとワープされた。

 本当は全員承諾状態じゃないと移動しないけど、こっちと対戦相手全員が承諾していたため早かった。


「ルールはデスマッチ。リングの上から落ちないように戦うシンプルルールみたい」

「なーんだ。これじゃあ僕たちのほうが有利じゃん」

「そうね。これでは敵にならないわ」

「まあまあ。せっかくだし楽しもうよ」


 今いる部屋は待機部屋と呼ばれる戦闘準備室。

 本来なら武器やアイテムをセットしたり作戦を練ったりする場所。

 しかし、俺たちは何もしない。

 なぜそこまで余裕なのか。

 それは見ればわかる。


「カウントダウン始ったよ!」

「5、4、3、2、1……0!」


 カウントダウンが終わるとリングへワープされた。

 俺たちは3人。

 向こうはデスマッチルール参加人数上限の100人までいた。

 見たところ、あちこちにプレイヤーランキングで見た顔がある。

 惜しくも個人の世界大会のランキングに載らなかった者たちだ。

 普通に考えたらこの人数3人相手にそのガチ編成、めちゃくちゃ本気マジじゃん。


 敵は俺たちを確認すると、数で押そうとみんなで襲いかかってきた。


「「「「「うおおおおおお!!!」」」」」

「すこし数を削りましょうか。神の雷墜ゴッドサンダー


 多くの悲鳴とともに半数ぐらい倒れた。

 戦闘不能になると別の場所へ自動でワープされる。

 リングから落ちたと同じ扱いで戦闘不能は負けとなる。


「やっぱり耐性を持っている人が多いわ」

「じゃあ次は僕が行くよ!霊槍クリスタルフレイム、やあああ!」

「ぐあっ!」「ぐはっ!」「がはっ!」


 ザクザクと敵を切り捨てていく。

 だが全員とまではいかず、一人の男が防いだ。


「うおおお!岩の拳フィスト・インパクト!」

「おりょ?」


 メルの槍は見事に砕かれた。


「ふははは!これで攻撃はできまい!!」

「ありゃりゃ、やっぱりクリスタルじゃ脆いから無理だよね」

「何をぶつぶつといっているんだ?」

「モード!ファイヤーフレイム!えいっ!」

「なっ!?あちゃああああ!!」


 うわあ、えっぐ。

 槍で刺しただけではなく、燃やした。

 燃えた奴以外もドンドン倒していく。

 残り数人とまで減らされた。


「おいおい、俺まだ何もやっていないんだけど」

「あっ、ごめんねー!」

「じゃあ最後は譲るわ。これでいい?」

「それならいいぜ!じゃあビシッと決めるか!」


 俺は残りの敵の前へと歩を進めた。

 さっきの二人のせいで完全に怯えている。

 もう戦意喪失かよ、そっちから挑んできたのに。


「ん?みんな、落ち込むのはまだ早い!あいつのステータスをみろ!」

「なっ!Lv.1だと!?」

「雑魚中の雑魚じゃないか!!」


 今のようにステータスを人に見せることができる。

 ただし本人が許可しない限り全体公開はされない。

 俺はあえて常に見えるようにしてある。


「みんなかかれー!!」

「「「「「うおおおお!!!」」」」」


 はあ、やっぱりステータスを見たらこんな反応か。

 動きも所詮ランキング外、俺たちにとっては雑魚と変わらない。

 みんな油断している。


「ぐはっ!」


 俺は襲いかかってきた一人を殴った。

 それと同時に戦闘不能になり消えた。


「どういうことだ!Lv.1のやつがなぜ即死攻撃を!」

「これ知ってるだろう?」

「それは呪われし死神のネックレス。なぜそんなゴミアイテムを……!」


 そう、世間一般的にはゴミアイテム。

 付けると即死攻撃ができる代わりにLv.1になり、ステータスは初期値に。

 序盤はよくても、だんだん当てるどころか近寄ることすら困難になる。

 今の俺の状況は初期装備でラスボス戦ってところだ。


「遠距離から攻撃しろ!そうすれば近寄れないはずだ!」

火炎弾ファイアー!」「氷の槍アイスランス!」「電撃ライトニング!」


 数々の魔法が一斉に俺へと飛んできた。

 ……遅すぎる。


「がはっ!」「なはっ!」「ぐわっ!」

「ど、どうしてだ……どうしてLv.1がこんなに速いんだ!!」

「いや、ただ単に慣れただけ」

「そんな馬鹿な話があってたまるかああああ!!」


 最後の一人は叫んだ。

 叫びとともに姿を消した。

 同時に勝利コールが鳴った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る