第4話クイーンバレルの朝
「ボスちゃん♫ボスちゃん♩」
ボスちゃんの名前を歌うように口ずさみながら私はシャワーを浴びる
背中には痛ましい程の傷跡が
火傷、切り傷、打撲痕、数を数えればキリがない。
その忌々しく穢らわしい
傷をつけたのはジャックではない。
幼少期、親の虐待からの傷であった。
その親を殺したのは
あの当時小学生だったジャックだ。
そして私も殺そうとした。
だけど 止めたのだ
私は理由を尋ねると
「背中の傷痕が笑ってやがる!これは傑作だ
こんな綺麗なものは殺すのはもったいねえ!」
とその場で笑いはじめたのだった。
私はよごれている。でもジャックは
綺麗だと言ってくれた。
こんな人はきっと二度と現れない。
シャワーをバルブを閉めて
タオルで体を拭いて
いつものメイド服を着る。
鏡を見て髪を整えてから敵に張られていないか監視モニター室にいる警備員と連絡を取る
誘拐したコックと話をして
今日の朝食の献立を決める。
こちらの給料に結構満足しているようで
逃げる様子はない。
愛しい人が眠る寝室へと向かう。
カーテンを開けて雲ひとつない青空と
日の光を浴びる
「絶好の犯罪日和…ではないですね」
さてそろそろジャックを起こそうか
と思い窓を開けると黒いなにかが部屋を
バサリと飛んで入ってきた。
バサバサバサバサッ!
それに続くようにもっと沢山の何かが部屋に入って天井を舞う。カラスだ。
一羽の足にはメッセージがくくりつけられており それを読んでため息をつく。
電子機器での通信はヒーロー達に
傍受されてる可能性がある。
時として古典的な方法は有効なのだが
「どうしていつもこんな呼び出し方
なんでしょうか…部屋が汚れる」
カラスを追い払い窓を閉めて
愛しい人が眠る側に座る。
眠る姿は16歳の普通の子供だ
頬を撫で静かにモーニングコールをする
「おはようございます。ボスちゃん」
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