第24話 妙なトライアングル 2
「ねぇねぇ、そのゴスロリの洋服すごく可愛いね。自分で作ったの?」
「ま、まぁ」
「すっごーい! 可愛い上に器用なの!? 食べちゃいたい!」
「馬鹿か! お前は人食い巨人なのか!?」
さっきから結城さんのテンションは上がりっぱなしで、たじたじの那波との攻防を繰り広げている。結城さんはどうやら中二病な僕の妹にかなりお熱な様子らしい。
「ねぇねぇねぇ! どうやって作ったの?」
結城さんはニタァと怪しげな笑顔で、那波の服をいろんな角度から眺める。
「これは、だから……」
那波が僕に助けを求めるかのように目配せをしてくるので、代わって説明をする。
「これは、うちの母が
オドオドしながら那波が
「ヤバい、超天才! はぁ、ダメ……可愛いすぎる」
「あにぃ、どうにかしてくれ」
結城さんの言動に恐怖を覚え、那波は僕にしがみついて離れない。
「ははは……ゆ、結城さん少し落ち着いて」
「あ、ごめんね。私さ、三姉妹で上にお姉ちゃん二人の末っ子なもんだから……ついつい」
「そうだったの?」
「うん、だから妹にすごい憧れがあったの。だから、ね? その子くれない?」
「馬鹿を言うな! お断りだ!!」
「ああ、怒った顔も可愛い♪」
結城さんがクラっとした仕草をする。コーヒーショップでの結城さんはずっと暴走気味で、那波に私生活を根掘り葉掘り聞き出そうとし、那波は目に涙をためつつ、拒否し続けていた。
しばらくし、良い頃合いだと僕らはデパートを出て帰宅することになった。空を見ると、太陽がビルの陰に隠れようとしていた。もうデートは終わってしまうんだなぁと、なんとも言い表せられない寂しさに襲われる僕であった。
「じゃ、當間くん、妹ちゃん。わたしはここで」
雑談をしながら歩く中、結城さんが唐突に別れの言葉を切り出した。
「私の家、この先すぐだから」
この先って、確か有名人が住んでるって噂の高級マンションがあったような。そんな考えがふと脳裏をよぎる中……。
「どうしたの? 元気なくない?」
僕の暗さを感じとったのか、結城さんが僕の顔を覗き込む。
「え、いや、今日はゴメン。ずっと迷惑かけてばっかだったから」
「そんなこと気にしてたの? 私、すっごく楽しかったよ」
そう言いながら、結城さんは2匹の大きなウサギのぬいぐるみを突き出す。
「可愛い双子ちゃんもお迎えできたし」
「はは、なら良かったよ」
「だから、今日はありがとう。また、勉強頑張ろうね」
「うん、そうだね」
満面な結城さんの笑顔に、ついつい顔が熱くなる。
(そうだ、また学校で会えるじゃないか)
結城さんの笑顔は僕にとっては希望で、さっきの重苦しい寂しさが薄らいでいくような気がした。
「ふん、さっさと帰れ」
そんな僕の心情をよそに、隣の那波が余計なことをボソッと
「え~? なになに? 妹ちゃん何か言った~?」
絡むように結城さんが怪しく笑い、那波はササッと僕の背中に隠れる。
「うふふ、可愛いんだから。それじゃあね」
こうして僕らに別れを告げ、結城さんは高級マンション方面へと帰っていった。
「……帰ろうか」
「うむ。ここからは家まで私を護衛する任務を与える」
「はいはい」
兄妹のしょうもない会話を交わした後、僕らも再び
「あにぃ」
「なんだ?」
「言っておくが、私はまだ奴を信用したわけではないからな」
「え、だってさっきは……」
「あれはその場を切り抜けるための取り繕った言葉だ」
「ったく、
まぁ、僕もこいつがすんなり赤の他人を受け入れるタマではないことを十分理解している。これまでも色々あったからな。
「いい人ぶってても、人間いつか化けの皮が
「結城さんはそんな人じゃないってば」
「むぅ……なんとか、奴のあにぃへの接触を
那波は帰り道、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます