第3話 出会い 3
(ヒィィィィ!)
僕は心で悲鳴を上げる。夜の校舎は異様で、本当に幽霊でも出てきそうだ。普通に生きていれば夜の学校に入るなんて、人生に一度あるかないかだというのに。
今は無人セキュリティの時代だし、宿直の先生なんてのもいない。仮に霊障などが降りかかった場合は、一人で対処しなければならない。
(どうか幽霊よ、現れないでくれ)
こうも暗い廊下だと、歩く時間が妙に長く感じる。本当に結城さんは、こんな時間に学校にいるのだろうか? 僕は騙されてないだろうか?
祈るような気持ちで、自教室がある階に到着すると、遠くに明かりが見える。教室に電灯がついている様子だ。
(た、助かった~)
明かりがこんな嬉しいなんて。僕は
彼女は腰を机の上に下ろし、足は
(あっ、参考書!)
結城さんの目線の先には僕の参考書があり、彼女はそれを眺めている。僕は教室のドアを大きく開けた。
「あの、
「あら、
そう言うと結城さんはパタンと参考書を閉じ、僕のもとへ歩いてくる。
「はい、これ」
そして、たった今まで目を通していたであろう僕の参考書を手渡す。
「ありがとう」
「いえいえ」
僕はお礼を述べ、それを受け取ると同時に抱えていた疑問を投げかける。
「あのさ……これ、どうして僕の参考書だってわかったの?」
「さぁ、どうしてでしょう?」
結城さんはイタズラ顔をして、
「ね、ねぇ、教えてよ。気になるじゃんか」
僕は彼女の
「うふふ、じゃあ……参考書の中を
(えっ?)
僕は今しがた彼女から受け取った参考書をめくる。すると、塾への特別講義の申込用紙が出てきた。氏名はもちろんのこと、しっかり携帯の番号や住所まで記入済みである。
「あっ、これ……だから僕の携帯番号わかったんだ」
「机の上に置き忘れてたよ。個人情報、ダダ
皮肉を込めた言葉を言い放ち、さっきと同じ不良スタイルで僕の机に座る。
「あの、そこ……僕の席なんだけど」
「別にいいじゃない。それともなぁーに? 参考書そのままで個人情報バラされても良かったの?」
うっ……結城さんのイタズラな言葉に何も言えず、僕は黙り込んだ。
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