大根について語ろう
隅田 天美
第1話 大根について語ろう
大根。
読みは「だいこん」
アブラナ科の植物。
ウィペディアによると、原作国は地中海・エジプトあたりとされ、日本には弥生時代あたりに伝来してきた、古くからの食用植物である。
当然、日本で多種多様に進化し私たちの文化などにも深く浸透している。
例えば、足の太い人を『大根足』と言ったり、下手な役者を『大根役者』、知らなかったがなかなか打てない野球のバッターを『大根バッター』等というらしい。
加工食品も様々で切り干し大根や中華料理で大根餅なんてものもある。
調理も定番の大根おろしから、サラダまで何でもできる。
一部では『大根役者』とは下手な役者ではなく「どんな役にもなりきれる万能役者」という意味にとらえられることもある。
さて、ここまで書いて何だが、私、大根が大っ嫌いであった。
どうして嫌いになったか、幼少期まで記憶をさかのぼった。
どうも、子供のころに『大根=苦い』という記憶がどこかしらでインプットされたらしく、嫌いになったようだ。
加えて、子供は大根より、というより野菜よりも肉。
だが、我が家は貧乏であり、母が大の大根好きであり、ほぼ毎日大根が出てきた。
子供の私にとって、それは苦行であった。
とにかく、一緒に煮てある小さい肉を見つけて、それでご飯を食べた。
後年、鬼籍に入った好きな作家がエッセーで『大根、美味しい』みたいなことを書いていて、「あ、ご存命でも話が根本的に合わないな」と思ったこともあった。
そんな私を変えたのはコンビニであった【豚バラ大根合わせ調味料】だった。
棚の入れ替えなのか数割安くなっていた。
買ってみた。
だが、正直、そんなに期待していなかった。
――どうせ、苦いんだろうなぁ
大根と肉も買い、家に帰って、手順通り作った。
白いご飯と豚バラ大根。
食べてみた。
「美味しい‼」
大根が苦くない。
それどころか、肉のうまみを吸って美味くなっている。
そこから、私は少しづつ大根への偏見が変化していった。
大根と鶏肉を煮たり、焼き肉に大根おろしで食べてみたりした。
止めは、これまた、コンビニで出会った『おでんの大根』である。
それまでは、おでんは上から
【卵、ロールキャベツ、牛スジ】
だったのが、一気に大根が一位になった。
今なら、あの作家さんにも言える。
『大根、美味いです』
大根について語ろう 隅田 天美 @sumida-amami
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