第15話

「小さいだろうけど、仕方ないな。よいしょっと。これはかなりキツイな。」


 そそくさと白と赤の2パーツに別れた布地を身に付けた男子。


「ちょっと、あたしの体操服が悲鳴を上げているよ!」


「こ、これは伝説のブルマではないか!それもロリサイズをこの俺が身に付けるなんて。これは夢なのか、いや夢でしかありえないことだ!」

 男子のお腹は全開、腕を覆うどころか、肩の先で完了している袖。ブルマは超ブーメラン状態で、見方によってはセクシーと言えないこともないが、男子の雰囲気ではタダのヘンタイさんにしか見えない。


「あんた、コゾウじゃないなら、名前とかあるの?」


「俺は楼李昆太だ。立派な男子だ。男子?」


「じゃあ、やっぱりお兄ちゃんじゃなく、男子なんだ?」


「その通り。」


「・・・。だ、男子、化け物!きゃああ~!」

箱子は小さくなっていたナタを手にして振り回した。


「やめろ。危ないだろ!」

箱子はナタ振るいを止めず、周囲の木を切り倒した。


「いや、俺が間違った。俺はお兄ちゃんだ!完全無欠のロリ王お兄ちゃんだ!」


「えっ?お兄ちゃんなの?お兄ちゃんの前にロリ王とか冠詞が付いているけど。」


「お兄ちゃんにはいろいろ種類があるんだ。俺はその中のひとりだ。」


「世界にはそんなにたくさんのお兄ちゃんがいるの?」


「よく考えてみろ。お兄ちゃんがたったひとりだったら、世の中の女の子が困るだろう。ひとりのお兄ちゃんがすべての女の子を相手するとか絶対的に無理だ。だから、お兄ちゃんはすべての女の子の数だけ存在するんだ。なあ、安心設計だろ?」


「そうだね。安心設計のお兄ちゃん。ちょっと怪しい感じもするけど、お兄ちゃんなんだ!やったあ!あたしにもお兄ちゃんができたんだ!」

箱子の天然に救われた昆太。


「よ~し。ロリ王お兄ちゃんの胸に飛び込んで来い!」


「うん。お兄ちゃん!」

箱子は昆太に全力ハグ。

昆太は小柄な体に似合わない巨乳攻撃をまともに受けた。


「す、スゴい!これが真のロリか!妄想だけの世界がついにリアルになったぞ!それに夢にまで見た萌え妹付属お兄ちゃんポジション!萌ネ、萌ネ、萌ネ~!バタン。」


昆太はリアルロリ王ならぬ、お兄ちゃんとなり果てた。

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