第14話

「ゾ、ゾウがもう一匹いるよ!うわああああ~!」

 男子を見て箱子は尻込みして、後ずさりした。それもそのはず。男子は一糸纏わぬ超自然体であった。


「ゾウだと?どこにそんなデカブツがいるんだ?」

 男子は周囲を見渡すがそんなものは視界に入らない。


「デカブツ?そんなものはないよ。ゾウはゾウだけど、子供、いや赤ちゃんゾウだね。かわいいような?」

 箱子の視線は一点集中であった。本物のゾウならばひたすら見上げるしかないが、こちらは見下ろして凝視しないといけないレベルであった。


「うっ。そのイタイ視線はここに来ているのか?ヤバい!」

 慌てて、その辺に転がっていた茶色の布切れを広げて腰に巻いた。


「そ、それは、あたしのナタを入れている袋。返してよ!って、ゾウが喋ってるよ!」


「ゾウ?俺はゾウじゃない。人間だ。それよりなんてかわいいんだ。ヒョウ柄ワンピースに野性的な瞳。何よりも身長1メートル未満の幼女で、出るとこはしっかり、いや巨乳レベル。ただの子供ではない。これぞ、本物のロリっ娘じゃないか!萌ネ、萌ネ、萌ネ~!」


「また萌え?三つ目のバージョンだね。って、そんなことを言ってる場合じゃないよ。コゾウ、化け物だよ、コワいよ~!」

 その場から逃げ出そうとする箱子。その動きは瞬時に強制的に停止させられた。


「待てよ。こんなにかわいいのに、ここにいるのは義務だろう。基本的人権でロリを愛でることは保障されてはいないけどな。」


「言ってることがわからないよ。どうしてあんたは人間と言えるんだよ。人間は女の子しかいないんだよ!って、まさか、あんたは男の子?」


「そうだ。コゾウかもしれないが、れっきとした人間の男子だ。不健全男子だ。」


「男子!?って、もしかしたら、お兄ちゃんなの?」


「お兄ちゃん?妹なんかいないし。職業では高校生と分類されるな。」


「高校生?その表現に憧れてるんだけど、あたしは小学千年生だよ。」


「小学千年生だと?それは実にロリ心に染み入る表現だな。どこまでも幼さを追求して離さない。なんとロリの鏡ではないか。」


いきなり盛り上がる昆太。立ち上がると、腰の布切れがはらりとした。


「きゃあ!またコゾウが顔を出した!」


「コゾウ、コゾウ言うな。まるで小僧みたいじゃないか。」


「だって、コゾウはコゾウだよ。」


「なにか、着るものはないのか。」


「これならあるよ。あたしの体操服だけど。」

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