第4話
「こんな人生をいつまで続けなきゃいけないんだよ。刺激が無さ過ぎるんだよ!」
「刺激ならばこうすればよくてよ。手本を示して差し上げますから感謝しなさいでちゅわ。」
吝奈は、そばの木に生えていた紫色に光るキノコをもぎ取った。
「それって、どこから見ても毒キノコだよね?まさか、それを食べるんじゃないよね?」
怪訝な表情で吝奈を見つめる箱子。
「高貴な吝奈ともあろうお方が、そんなことするわけないぢゃん。フツーはこうするぢゃん。ひっく。」
木憂華は足元に落ちていた誰かの食いかけっぽいリンゴを手に取った。リンゴの半分
はすでになくなっている。残された実の色で黄色い部分は全くなく、ドス黒く変色し、
虫が蠢いている。捨てられてから数日は経過しており、それに最初に食べた主が人間である保証もない。酔った勢いで腐ったリンゴを食べるというアレである。
「ふたりとも、どうしてそんなモノを口にするんだよ!百パーお腹こわしちゃうよ!」
「箱子さん。その手にしてるモノはいったいなんでちゅの?」
箱子の右手には、あきらかに腐敗した動物の肉があった。鼻が曲がるような悪臭を撒き散らし、ハエがしつこく飛んでいる。
「刺激って言ったらやっぱり生肉。それも死肉だよね。味は最悪だけど。そもそも食べ物じゃないし。それが刺激の醍醐味なんだけど。」
「「「せぇ~の。ガブッと!」」」
三人が一斉に刺激物を口にした。
「「「まず~い!!!」」」
不快指数の見事なハーモニー。
「「「さあ、待機モード三分間。」」」
田舎だが、公衆トイレはしっかり設置されていて、三人はその前に立っていた。
「「「ぎゅるるる~!キタ~!し、死ぬ~!」」」
数分後、三人は公衆トイレから出てきた。
「はぁ~。スッキリした。今日は超特急だったねえ。」
「刺激的だったかちら?」
「たしかにそれはそうだったけど、からだにはすごく悪いよ。」
「だから刺激を求めるのはよくないっていうのぢゃん。いちいち付き合いするこっちの身になってほしいぢゃん。今日も死ぬかと思ったぢゃん。」
木憂華は酔いがすっかり醒めている。
「でも死なないからできることだよ。不老不死の国だからこんなことができるんだから。えっへん。ぷるん。」
「こんなことで胸を張るんではありまちぇんわ。はしたないでちゅわ。ぷるん。」
「ふたりとも、イヤミぢゃん。悔しいぢゃん!シーン。」
三人の身長はほぼ同じであるが、胸に関しては、箱子・吝奈グループが超強者という格差社会がこの田舎にも存在した。
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