第2話
「吝奈ちゃん!いったいどこから出てくるんだよ。びっくりしたじゃない!大神田家(おおかんだけ)のお嬢様がこんなところに潜るなんてみっともないよ。」
金色の花の下から、土にまみれた金色のロングヘアが現れた。髪と同じ色のドレスから土をパンパンと払っている。やや細目の黒い瞳と小さな唇が上品さを示している。しかし、耳は毛で覆われている。けもの耳である。加えて、口の中にキラリと光る純白の大きな牙が印象的である。
「箱子(ぱこ)さん。もうこれからっていう時に、これでおしまいでちゅの?つまらないでちゅわ。べ、別にもっとやってほしいっていうことではありまちぇんけど。」
視線を逸らしながら語る金色ロングヘア。
「何言ってるんだよ。またこんなイタズラして、あたしはカンカンなんだけど。」
箱子は吝奈の前に仁王立ちした。
「チャンス到来でちゅわ!クン、クン、薫~!いい薫り~!」
吝奈は、箱子のヒョウ柄スカートの中に頭を突っ込んで、匂いを嗅いでいる。
「いやああ~!」
『萌へ、萌へ、萌へ~!』
吝奈はヒョウ柄スカートの中で、悶えていた。
「もう吝奈ちゃん、やめてよ!」
『プスリ』
「痛い!」
箱子の腕に注射器が刺さり、すぐにピストンが引かれて、シリンダーは赤い色で満たされた。
「これはいい色じゃん。あさイチの取れたて新鮮血液ぢゃん。これはソッコーで、注入するぢゃん。プスリ。う~ん、テイスティー~。」
赤い花の根元から、土埃を舞い散らせながら出現した白衣の少女。髪は深紅のツインテール、大きな丸い瞳は赤く輝いており、小さな丸顔によく似合っている。口元から純白の尖った歯が見える。それに背中には黒く曲がって、かつ尖った羽根が生えている。
ツインテの少女は、自分のほぺったに針を刺して、その部分が赤くマウントしている。
「キューリー夫人博士!朝っぱらからこんなところで血液検査してるヒマがあったら、学校で勉強しなよ!」
「その名前で呼ぶなぢゃん!。だいいち、Qは独身小学千年生であって、夫人じゃないし。Qには茎宮木憂華(くきみやきゅうか)っている名前があるぢゃん。パコだって、山場箱子(やまば ぱこ)って言う名前じゃないかぢゃん。今日の箱子の血はなかなかおいしかったぢゃん。睡眠がよく取れていた証拠ぢゃん。う。だんだん、箱子の血が体に沁みてきた。酔いが回ってきたぢゃん。うい~、ひっく。」
よく見ると、吝奈も木憂華も、口元から透明かつ濃厚で粘り気のある体液を、絶賛お漏らし中である。
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