8ページ目 セルリアン戦~。

「アライさんはとんでもないことに気付いたのだ!」

「なーにー?」



「最近おたからはっけんしてないのだ!」



……そだね~。

最近はちょっとのんびりし過ぎたかな~。

なんとか暇を潰して1日が終わるって感じだな~。


「じゃあアライさ~ん、今日はまたおたから探しをしようか~。」

「了解なのだ!」


それにもうすぐ『あの日』もあるし~。

それがお詫びになったらいいな~。






「アライさんに~♪おまかせなのだ~♪」


ご機嫌だねアライさ~ん。

わたしのペースでのんびりし過ぎちゃったこと、許してくれるかな~?


「ア、アライさ……」

「うおぉ!あっちに何かある予感がするのだ!行ってみるのだ!」

「あぁ、行っちゃった~。」


……まあ、また折を見て話せばいっか~。






「……あれ?あれれ?ここ、どこなのだ?」

「ここら辺はしんりんだからねぇ。そういえばわたし達って、最近しんりんから出ないねぇ。」

「そろそろ他のちほーにも行きたいのだ!行きたいけど……今アライさん達がどこにいるのか分かんないのだーーーっ!」

「いやぁ、困ったね~。」


わたしはアライさんについていっただけだしねぇ。

まずしか見てなかったわけだし、道はあまり覚えてないな~。

う~ん、とりあえず……。


「わたし達がこうやって止まる前に歩いてきたのはあっちだから~。あっちに真っ直ぐ行ってみよ~。」


とりあえず、この森から出なきゃ~。






「うーむ……。アライさんのせいなのかー?」

「大丈夫だよ~。なんとかなるなる。」


そうやって慰めてきたけど、わたしだってちょっと後ろめたいよ~。

アライさんのことを考えないでのんびりし過ぎちゃったからね~。

……今、許してくれるか訊こうかな?


「ア、アライさん……」


でも、次の瞬間。


セルリアンが、現れた。


「……うえぇぇぇッ!?デカイセルリアンなのだ!デカイさんなのだ!って、そんなこと言ってる暇ないのだ!」

「アライさん落ち着いて~。まず、自分達より大きいセルリアンだからハンターを呼ばなきゃ……いや、こんな森で呼べないよね~。」


どうしよう……。

セルリアンの眼光が、怖いな~。


「どうするのだフェネックゥ!」

「……あ~。アライさんはちょっとの間でいいから、逃げてセルリアンを惑わしていてよ。」

「そ、そんなことならアライさんにおまかせなのだ!」


よし、アライさんがセルリアンを引き付けている間にわたしは……


「うぎゃあああああ!このセルリアン、勢いが良すぎるのだ!」


待っててアライさん……。

わたしは今ね……。


「怖いのだ!すりるまんてん、なのだ!こんな怖いの初めてなのだー!」


待って……。

待って……。


「うぅ!フェネック助けてなのだー!」

「……よしっ、はいはい、大丈夫だよ~。」



……でも



「……こうなったのはわたしのせいだもん。のんびりし過ぎて、アライさんにまかせっきりな部分もあるし。ごめんね、最期におたから、手に入れたかったでしょ?ごめんね~……。」


やっと言えた……。

でも……。


「……アライさんだってイケナイのだ!急ぎ過ぎたのだ……。こんな時もフェネックを困らせて……。ごめんなさいなのだ……。」


「……そんなことないよ」

「フェネックだってそんなことないのだ!」



じりじりと近づいてくるセルリアン。

あぁ、わたしも最期におたからを手に入れたかったな……。

わたしの願い、かなえたかったな……。

……いや、でもこの願いは、ほんとうはもうかなっていたりするんだけどねぇ……。



……でも、何かに気付いたアライさん。

セルリアンがこっちに来るよりも早く木登りを始めた。

やっぱりアライさんは手先が器用だなぁ。


「……フェネック!フェネックの作戦は分かったのだ!フェネックは『あそこ』にセルリアンを誘導してくれなのだ!」



……はっ、そうか。

わたしは……穴を掘っていたんだった。



アライさんがセルリアンを引き付けている隙に。

大きな穴を猛スピードで掘っていた。

野生解放して。



「よし……セルリアン、こっちだよ~」


わたしは、セルリアンを穴の方へ誘導した。

そして……



「……穴にハマったか!?たぁぁぁぁぁッ!」



木に登っていたアライさんが、トドメをさした。



「……パッカーン、なのだ!」

「パッカーン、だね~。……良かったねぇ。」

「良かったのだ……。フェネック、改めてごめんなさいなのだ……。」

「いいんだよ~。わたしも改めて言わなきゃ~。ごめんね~……。」

「いいのだ!」


こうしてお互い謝れた~。

良かった~。


「お前達、何をしているです?」

「大きな音が聞こえたのです。」


「あ、博士に助手!なのだ!」



こうして博士助手に事情を話して、わたし達は森から出られたのさ~。

いや~、良かった良かった。

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