2ページ目 らいくあらいと~。

「待ってよアライさ~ん。」

あわてんぼさんをわたしはいつも追いかける。

疲れないのかって?どうしてだろう?


……どうしてだろうねぇ?


「きっとこっちなのだー!」

「……ん?あれぇ?アライさん逆じゃない?」

「げー!?あれ!?確かにあっちの方が見覚えあるのだ!ごめんなさいなのだ……。」

「大丈夫だよ~。さばんなは同じ景色が続くしね~。仕方ないよ~。」


よしよしと、そうやってフォローしてまたかけぬけるむちゅうな後ろすがたを、わたしは見まもる。


「あ、ここ見覚えあるのだ!ここも!」

「ばすてき、近づいてきたね~。」


アライさんが随分先に行ったってだいじょうぶ、ちゃんとついてく。


「このままばすてきまで突撃なのだーっ!」

「あ~……アライさんちょっと速すぎるかなぁ~?」



……や~、やってしまったかなぁ?



ゆっくりし過ぎてきらきらを……見失っちゃった……?

……あ、もしかしたらアライさんはばすてきの所に……。

「行ってみるか~。」

わたしはちょっと駆け足でばすてきの方向へ行った。

……あ、もしかしてあれは~。


「フェネックー!見つけたのだー!」


「アライさん……いや~、良かった良かった」

「先に行っちゃったけど、なんとか2人でばすてきが見つけれて何よりなのだ!」

『ばすてき』。ポジティブしこうのだいてんさいによって、停めてある場所が見つけられたね~。

「フェネック!一緒に乗るのだ!一緒にすてきなたびに出るのだー!」



──そう言ってアライさんはわたしが乗るのを待っている。

なんで?

いつも急ぐアライさんなのに、ついのんびりしてしまうわたしを待っててくれる。



「……行く~?」

「行くのだ!よーし、わっせ!わっせ!」

「わっせ~。」

わたしは急ぐアライさんに付き合っていく。

どこにいくか、なにをするか、決まってなくたって。




………………




「……ぐぬぬー、なかなか進まないのだ!もう日が暮れてきたのだーっ!」

「アライさん、がむしゃらに漕いでるからだよ~。ほら、こんな感じで……」

「おぉ?ペースが上がってきたのだ?さすがなのだフェネック!」

「……えへへ~。」

こうやって考えるのは得意なんだよね~。

「この先は確かじゃんぐるちほーなのだ?サーバルから聞いたのだ!じゃんぐるに迷って『ここはどこ?』ってなっちゃったって!」

「じゃんぐるか~。でももう夜になっちゃうし~、一旦寝ようか~。」

「了解なのだ!」

とりあえずばすてきを停めて~。ばすてきに近い所で寝るよ~。


2人で並んで寝て……

「……あ、フェネック!見るのだ!おほしさまなのだ!」

「ほんとだ~。いちばんぼしだ~。」

いちばんぼし……

……実はわたしにはかなえたい願いがあるからさ~。

かなうといいな~。


「……。」

「フェネックゥ?手を合わせてどうしたのだ?」

「え?あ、お願いしてたんだよ~。」

「何をなのだ?」

……決まっているじゃないか~。


「いちばんぼしに、わたし達の日々をあかるく照らしてって。後はね、きたいがいっぱいなぐれーとじゃーにーがずっと、続きますようにって。」


「……らいくあらいと?」

「お、アライさんはやっぱりカンがいいね~。」

やっぱりアライさんはすごいや……。


「あ、フェネック、らいくあらいとってどういう意味なのだ?」

「ら、らいくあらいと??……えっとね、『光のように』って感じ……かなぁ?」

「でも歌詞は……」


「……うん、そうだね~。アライさんのおかげだな~。……うん、ありがと~。おやすみ~。」


適当にあしらって寝ちゃって、凹んでないか心配だけど……

「……へへっ、おやすみなさいなのだ!」

……心がきらきらし過ぎてそれどころじゃないな~。



……わたしは別にあさっての方向でもいいよ~。

似てないけど似ているきらきらを見まもりたいし。

わたしの願い、ほんとうはもうかなっていたりするんだよ~。

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