第21話 夏祭り

翌日も米田さんと、ちろちゃんに町を案内した。

ここは、大きな遊戯施設はないが、最低限の物はある。


でも、それだけでは物足りないし、ちろちゃんの心は満たされない。


「ちろちゃん」

「何?真二くん」

「今から夏祭り行かない」

「えっ?夏祭り?」

「うん」

「夏祭りなら、皐月町にもあるよ」

僕は、予想通りの答えに嬉しく思った。


「この町の夏祭りは、少し違うんだ」

「えっ」

「いいから行こう」

こうして、ちろちゃんを連れて行くことにした。


まずは米田さんの家に向かう。

そして、浴衣の着付けをしてもらった。


米田さんとちろちゃんは、ほぼ同じ背丈なので、ぴったりだった。

夏祭りだが、僕とちろちゃんのふたりがいいと、米田さんが提案してきた。


そして、ちろちゃんとふたりで行くことになる。


この町の夏祭りは、少し違うのだ。

「ねえ、どこが違うの?真二くん」

「それは、お楽しみ」

「楽しみ」

ちろちゃんも、喜んでくれている。


「いっとくけど、屋台とか、花火大会とかじゃないよね?」

「もちろん。それもあるよ。でも、違うところがあるんだな」

「楽しみ」

ちろちゃんは、興味津津だ。

プレッシャーが、かかる。

果たしてうまくいくだろうか?



そして、夏祭りの会場についた。

夏祭りをするには、まだ早い。


それも違うのだが、それだけではない。


ちろちゃんの好きな屋台を回った。

わたあめ、フランクフルト、かき氷、お面、かたぬきなど・・・

「真二くん、変わったことはまだ?」

ちろちゃんは、興味深深だ。


そして陽が暮れて夜となる。

少し上の高台に上がる。


「もうすぐ始まるよ」

「何が?」

「花火大会」

「えっ」

その瞬間、花火大会がはじまった。

市販の花火ではない。

本格的な花火大会だ。


この町には、大きな川もあるので、問題はない。


しばらくして、花火大会が終わった。

ちろちゃんは、感動していた。


「もしかして、他の祭りと違うって、これじゃないよね?」

「うん。これは前菜。変わったことはこれからだよ」

そして、その場所にちろちゃんを案内した。

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