第20話 女の子の気持ち

翌日、米田さんと二人でちろちゃんを案内した。

ちろちゃんは、初めて見るこの町に、とても感激していた。

「ねえ、私マクドナルド行ってみたい」

ちろちゃんのリクエストに答えて、連れて行った。


ハンバーガーとポテトと紅茶をテイクアウトで購入して、

近くの公園で食べる事にした。


さすがに店内では、田舎者と思われるのが、抵抗があるようだ。


この町も、僕らには珍しくもないが、ちろちゃんには珍しいんだな。

僕らが、ちろちゃんの住む町を、珍しいと感じるのと同じだ。


ちろちゃんは、子供のようにはしゃいでいる。

それを、僕と米田さんは、ほほえましく眺めていた。


「ねえ、佐田くん」

「何?」

「明日のちろちゃんの誕生日なんだけどね」

「うん」

「何か、考えてる?」

「何にも」

「何にも?」

米田さんは、驚いていた。


しかし、冷静に考えると難しい。

物ではごまかしたくないし、一生の思い出となる事をしてあげたい。

でも、この町では限界がある。


「ねえ、真二くん」

ちろちゃんが、駆け寄ってきた。

「ココア飲む?」

「遠慮しておく」

「まだ、克服してないんだ」

「悪かったな」

「もうすぐ20歳なんだから、好き嫌いはなおしなさい」

怒られちゃった。


「佐田くん、嬉しそうだね」

「何が?」

「ちろちゃんに、怒られたのが」

「そう見えた?」

「うん」

女の観察力は、鋭い。

いや、誰でもわかるか・・・


「女の子って、何が嬉しいのかな?米田さん・・・」

「佐田くん、女の子に訊いたら、ダメだよ!自分で考えなさい」

今度は、米田さんに怒られた。


女の子のほうが、気持ちがわかるのと思ったのだが、

やはり、僕が考えるしかないのか?


僕なりに無い知恵を絞って、ひとつの結論が出た。

米田さんに話せば、賛同してくれた。


いよいよ明日だ。

わくわくしてきた。


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