第17話 時

少し寝ようと思った時、米田さんが訪ねてきた。

「佐田くん、ヤゴどうなった?」

興味深深のようだ。


「今朝、ギンヤンマになって外へ飛んでったよ」

「ほんと?残念」

ががっかりしているようだ。


「ほら、ぬけがら」

そうして、棒にある抜け殻を指差した。

「ヤゴって小さいのに、トンボになると大きくなるんだね」

感動しているようだった。


「ねえ、佐田くん」

「何?」

「残ったオタマジャクシとメダカはどうするの?」

「逃がすよ」

「どうして?」

米田さんは、不思議がっていた。


「メダカはともかく、オタマジャクシは、ほら」

「あっ。そうか」

わかってくれたようだ。


でも、一度ペットにした生き物を自然に帰して平気かどうか、

栄林のおじいちゃんに相談してみよう。


「じゃあ、私がおじいちゃんに聞いてみるね」

「お願い」

孫の方が話しやすいだろう。

米田さんに、任せる事にした。


でも後で、僕も聞きに行こう。


そういや、ちろちゃんとは、どうなったんだろう?

まあ、女の子同士の秘密ということにしておこう。


そういや、高校時代は女子がよく、お泊まり会をしていたようだ。

男よりも、青春を楽しんでいるんだな。


で、昼間に水槽ごと、栄林のおじいちゃんに返す事にした。

栄林さんに、オスかメスかを訊かれた。

オスと答えた。

ギンヤンマの雌雄の区別は、僕でもわかる。


「もう、一匹飼うか?」

でも、断った。


生き物を飼うのは、難しい・・・


そして、時は流れて行く・・・


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