第16話 成功

3点リードが多いが、あまり気にしないでほしい。


で、僕は自分のお世話になっている、祖父母の家に帰宅した。

すると、ヤゴが水面から顔を出していた。


「今日、あたりだな」

祖父が声をかけてきた。


羽化をするということか・・・


「今夜は徹夜だな、しんちゃん」

「うん」


ヤゴがトンボに羽化をするのは、基本は深夜。

天敵が少ない深夜のほが、いいのだろう。


そして、夜中、水槽から少し離れたところに、

電気スタンドを置き、羽化を観察することにした。


羽化をさせるために、置いた棒を、ヤゴがよじ登ってくる。

そして、背中が開いて、羽化が始まった。


ヤゴの羽化は、テレビとかでは見たが、早送りされている。

時間がかかるためだ。


撮影をしようと思ったが、止めておいた。


緊張して言葉にならない。

羽化が失敗すれば、=死。

やり直しはきかないので、まさに命がけ。


祖父母は寝ている。


僕はただ、見守るしかなかった。

しかし、睡魔には勝てず、いつの間にか、眠ってしまった・・・


そして、気が付いたら、ヤゴ、否、トンボはもう殆ど完成していた。

後は、4枚の羽が開くだけだ。


「やはりギンヤンマだったか」

その瞬間、4枚の羽根が開いた。

これで、空へと飛び立っていく。


僕は、玄関のドアを開けた。

程なくして、玄関からギンヤンマは、出て行った。


その際、おじぎをしたように見えたのは、気のせいではあるまい。


僕は見送った。

「がんばれよ」



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