第10話  変わらないもの

・・・で、社務所に通されて、3人でお茶をすることになったのだが、

思春期の男女3人が、同じ空間にいれば、普通はドキドキするものだが、

ちっとも、そんなやましい気にならないのは、どうしてものか・・・


女子が2人で言う。

「今の君は幸せだね」

「なぜ」

「両手に花」

自分で言うか?


「そういや、ちろちゃん、おじさんとおばさんは?」

「お出かけしてる」

「そっか」

おじさんと、おばさんにも、よくお世話になったので、挨拶をしておきたかったが・・・まあ、帰るまでに出来るだろう。


「社務所も立派だね」

「うん、私もそれは昔から思ってた」

米田さんが、合わせてくれた。


「それだけは、自慢だった」

ちろちゃんが、誇らしげに言う。

確かにプレハブの社務所も多い


この神社は、伝統があると今更ながらに感じた・・・


「ふたりとも、待っててね。お昼用意するから」

ちろちゃんは、立ちあがった


「ちょっと、待った」「ちょっと、待って」

僕と米田さんの、声が重なる・・・


「何よふたりして、これでも料理の腕はあがったのよ」

ちろちゃんが自慢気に言う

「そうじゃなくて、見返りはなんだ?」

米田さんとふたりで、ちろちゃんを睨みつける。


「やっぱりわかった?」

わかる。古い友人だもの

「実は、境内を掃除してもらおうと思って・・・」

変わってない・・・


ホッとしたような・・・残念なような・・・


で、昼ごはんをご馳走になるわけだが・・・

チャーハンだった


米田さんは、塩をたくさんかけていた

「濃い味が好きなのか・・・」


まっ、美味しかった・・・それなりに・・・

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