第5話 事情

皐月駅に着いた・・・


ホームでは、僕のおじいちゃんとおばあちゃんが迎えに来てた。

元気そうで安心した。


ホームに降りると、おじいちゃんとおばあちゃんが駆け寄ってくる。

「しんちゃん、ひさしぶりじゃな」

「元気だったかい?」

おじいちゃんと、おばあちゃんに、頭をなでられる。


「うん。元気だったよ」

ふたりにとっては、いつまでも孫なのだが、やはり照れくさい。


後から来た米田さんに気付いたようだ・・・

「そちらの子は、例の彼女かい?」

おじいちゃんが、興味津津で答える。


「あっ、こちらは・・・」

僕が困っていたのか、米田さんが助け舟を出してくれた。


「初めまして。米田まほえです。真二くんには、お世話になってます。」

「こちらこそ。孫が世話になって・・・まほえちゃん?聞いたことあるような・・・」

おじいちゃんが首をひねる。


「おーい、まほえちゃん。お待たせ」

そこへ、米田さんの、おじいちゃんとおばあちゃんがやってきた。


「おじいちゃん、おばあちゃん、久しぶり」

「女っぽくなったの」

「えへへ」

米田さんは、照れている・・・

おじいちゃん子なのか・・・米田さんは?


「あれ、栄林さん?どうして?」

僕のおじいちゃんが、親しそうに声をかける。

知り合いなのか?


えっ・・・


「佐田くん、紹介するね。私のおじいちゃんと、おばあちゃん。

姓は、栄林っていうの・・」

そっか、確か母方だったな・・・


「なるほど。栄林さんの、お孫さんかい。

こちらは、うちの孫の真二じゃ」

「佐田さんのお孫さんかい・・・って、あのしんちゃんかい?」

「そうじゃ、あのしんちゃんじゃ」

何やら盛り上がっている。


「しんちゃん、わしらの事は覚えておるかい。よくうちにも遊びに来てたろう」

記憶をたぐりよせる。


時間がかかった・・・


「あっ、もしかして、よくヤゴを捕まえてくれた、あのおじいちゃんですか?」

「うん、覚えていてくれたか!うちにも、遊びに来たの・・・」

米田さんは、とまどっているように見えた。


詳しく話した方がよさそうだな。


「あっ、そういうことなの?じゃあ問題ないね」

米田さんが、物分かりがよくて助かった・・・


すぐに打ち解けられるだろう・・・


でも、早いに越したことはない。

僕と米田さんは、事情を話した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る