第4話 縁は異なもの

で・・・車内での事だが・・・


昔は、親父が子供の頃だが、まだ多くの列車には食堂車が連結されていたらしい。

まあ、ファミレスと変わらなかったようだ・

この、きつつきも連結されていたと聞いた。

親父はそこでの食事が楽しみだったと言ってた。


しかし、赤字のせいか、列車の高速化のせいか?

今はもう、定期列車で食堂車が連結されているのは、ない・・・


私鉄は、ちらほらとあるようだが・・・


「ねえ、佐田くん、美味しい?」

「うん、お世辞抜きで美味いよ」

「ありがとう。腕によりをかけたんだよ」

「わざわざ、ありがとう」

「いいよ。料理は趣味だもん」

好きこそ物の上手なれ・・・


「佐田くん、好き嫌いはないんだね」

「うん。食べ物の好き嫌いはないよ」

「飲み物はあるの?」

「うん、たくさんある」

「例えば?」

「アルコール(未成年だからではなく)、炭酸、コーヒー、そして・・・」

「そして?」

「ココア」

「ココア?信じられない」

みんなそういうが、無理は無理。


「米田さん、下のまほえは平仮名なんだね」

「どうして?」

「難しいことは考えないようにだって・・・」

名は体を表す・・・


「で、米田さん」

「何?」

「着いたらどうする?」

「うん、ふたりの、おじいちゃんとおばあちゃんは、駅に迎えに来てると思うけど」

「どうやって、紹介する」

「何とかなるよ。はい、お茶」

「どうも・・・」

アバウトな・・・


米田さんの、おじいちゃんとおばあちゃんは、どんな方だろう?

想像つくが・・・


「ところで、米田さんの、おじいちゃんとおばあちゃんは、父方?母方?」

「母方だよ。だから苗字が違う。佐田くんは?」

「父方。同じ苗字だよ。ちなみに母方は、天国で暮らしてる。多分・・・」

「そうなんだ。意外に小さい頃に会ってたりしてね」

「まさか」

そのまさかだった・・・

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