第2話 同じ境遇

朝が来た・・・

目が覚めた・・・

起きた・・・

朝ごはんを食べる・・・

案の定声をかけらる・・・


「支度出来た?」

「来週だよ」

母の問いに(しぶしぶ)答える。


「そんなこと言ってると、直前に慌てるぞ」

「じいちゃんと、ばあちゃんちだぞ」

父の問いに(いやいや)答える。


「彼女さんには連絡したか?」

「まだ」

「そっか・・・」

やはり、僕にはいないのを知ってて嫌味を言ったな?


ネットで代行彼女というのを検索してみた。

いくつかヒットしたが・・・


やめとこ、虚しい。


駅に来た。

みどりの窓口のところにいる。

前売りの切符を買いに来たのだが・・・


2列に並んでいる。

ひとつに並ぶんだ。

順番が回ってきた。


「10日の午前9時の特急「きつつき」皐月駅までお願いします」

「10日の午前9時の特急「きつつき」皐月駅までお願いします」


となりの列の人と声がかぶった・・・


「米田さん?」

「佐田くん?」


そこには、先日までクラスメイトだった女子がそこにいた・・・


いったん列から外れ、詳しく話をした。

近くの、喫茶店にいた。


「久しぶりだね。佐田くん」

「まだ、そんなに経ってない」

「相変わらずだね」

「まあな」


話をしていると、米田さん・・・

下の名前は?下の名前は?

忘れた・・・


「米田さん」

「何?」

「君の下の名前なんだっけ?」

「覚えてないの?」

「うん」

「あきれた・・・」

普通、特別仲良くないと、下の名前まで意識しないと思うが?


「まほえ、米田まほえよ!」

「まほえさんね、メモメモ」

僕からも名乗った方がいいだろう・・・変だけど・・・


「僕の名前は・・・」

「真二、佐田真二くんね」

「どうして、それを!」

「君は、クラスメイトを何だと思ってるの?」

こういうことは、女の方が記憶がいいらしい・・・


話を訊くと、米田さんも、僕と全く同じ事情のようだ。

米田さんの祖父母の家は、僕の祖父母の家のご近所さん。


で、米田さんも、家事手伝いの名を借りたプーだそうだ。

で、祖父母の家に彼氏を連れて行けと、親から命を受けたようだ・・・


「大変なんだね」

「佐田くんもね・・・」

しばらく静寂の時が流れたが、同じことを考えていたようだった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る