・オマケ「学園ヤンデレ武芸帳」
・オマケ「学園ヤンデレ武芸帳」
(「ヤンデレ女神様は全知全能/女神その名はYNDL」とは舞台設定その他一切関係無い話ですが、小ネタとして公開する機会がなかったのでヤンデレ繋がりでここに掲載します)
私は、ヤンデレだ。現代日本において、創作においては属性の一つとして扱われている要素だが、私という人間は、属性ではなく危険人物だ。出来れば、元ヤンデレでありたいと思っているが。
「
「あ、有り難う……(落ち着いて、ダメ、好きになっちゃダメ、ヤンデレするのは我慢、ヤンデレするのは我慢、ヤンデレするのは我慢んんんん!!)」
困ったことに秘密護衛対象の同級生の彼がイケメンすぎて、好きになってしまってぶり返してしまいそうで大変だ。
中学時代、痴情の縺れと苛めが絡んだ事件でクラスメートを全滅させてしまった私は、鎮圧の過程で殺されるか、マッポの手先になるかの二択で、後者を選んだ。
私はヤンデレとしても性質の悪い類だ。愛した人を独り占めしたい欲望が強すぎる。そして、その為に暴力を振るってしまう。最低の女だ。
しかも、困った事に暴力の腕前がありすぎる。……だからこそ、この仕事を行うマッポの手先になった訳だが。ヤンデレである事、犯罪者である事、有用な腕前を持っている事の三拍子で、「何の因果か」とは啖呵を切れないのが残念だ。
……趣味が古い?お前幾つだ?やかましーわ。あとまあ、私と私の敵について、ヤンデレヒロインってよりキルデレとか精神病とかサイコパスなんじゃね?とか、ヤンデレヒロインの定義とは魅力とは、とか語るのはやめてくれ……私達は所詮、ヒロインではない半端者なのだから。
ともあれ、彼は、まあ、非常に重要な人物の子息だ。詳しく言うと面倒くさい事になりそうだから、どういう意味で重要なのかは言わない。それで察して。
問題なのは、彼が重要人物であると同時に、ある特性を持っている事だ。
それは天性の魅力。魅力があるのはいい事なのだが……彼の魅力は強すぎる。古代の神々が崇められるが如し、だ。
そしてそれは、危険な人物まで惹かれる事を意味する。
それを始末するのが、私の任務だ。……病院にいっていたというのも、その任務を実施していた事の偽装だ。
そして今も、私はその気配を感じている。
放課後を通り越して深夜、二人の少女が対峙していた。
「貴様の同類は、先週屠ったばかりだ。盛りのついた雌の狂犬め。同族の尻を追って地獄に堕ちるか、ありもしない貞操を思い出して巣穴に帰るか選ぶがいい。」
片や護衛対象の少年に、
「『見つめ魔キューピッド』ちゃんみたいな、確かに弓術警察もぐうの音も出ないような見事中前と腕前の持ち主だけど近寄られればどうしようもなかった弓術使いと一緒にされても困るなー。」
対峙する少女も、コケティッシュでふわふわの髪とタイプは違うが美少女で、来ている服もお洒落だが、その笑顔に浮かぶは狂気。その手には、ナマハゲか山姥が持つ様な大包丁。
そして何より剣呑なのは。
「その構え。ドイツ剣術の一派、メッサー術か。」
「ええ。パパが貿易商でね。輸入した古書の中に
メッサー、あるいはファルシオンとも呼ばれる片刃の剣。日本人の大半は剣術武術は日本やアジアのものと思いがちだが、西洋にも武術はある。廃れたものが大半だが、最近は甲冑を着ての戦という昔の戦いをスポーツとして再現するアーマーバトル等で復興の動きもある……当時の
その一流派を眼前の少女は会得していると、風間と呼ばれる少女は見切っていた。そして、それだけではないとも。
「その斬り慣れた佇まい、畳の上の水練とは思えんな。何人斬った。」
「失恋した回数や、邪魔な糞女の数を覚えているのって辛くない?」
「糞女は貴様だ。」
そして構え……名乗りをあげる。
「学生SP、
一騎当千、一切迷惑。何れ劣らぬ武芸を修めた、七人のヤンデレ。学園ラブコメの裏で、血風が吹き荒ぶ。
その戦いの行方は、誰も知らない。
完
ヤンデレ女神様は全知全能 博元 裕央 @hiromoto-yuuou
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