第1話「この時代について」


 平成15年4月。


 2003年とはどう言う年だったろうか?

  

 身近な物で例えよう。

 

 まず携帯電話はそこまで普及していない。

 スマフォなど影も形もない。


 少なくともまだテレビは完全に地デジではない。


 今ではオタクの諸兄型も興味を持つようになった政治の世界も小泉内閣だった時代。

 この時はネットの影響力とかそんなもん皆無でマスコミ連中は好きに報道して野党も好き放題やっていたのは目に見えてくる。


 人の意志や感情が関わる以上完全に公平なジャーナリズムはないが、日本の場合は完全に開き直って批判を繰り返しているので性質が悪い。


 テレビ番組自体はまだ勢いがあったがテレビ業界に携わる人間は衰退など考えもしなかっただろう。


 そしてこの頃はイラク戦争は真っ直中だ。

 未来では石油の利権狙いとか色々言われているが、正直言うとこの戦争もベトナム戦争の焼き直しで、いや――それよりも酷いか。2010年の終わり頃になってもまだ続いている印象がある。


 サブカル面ではラノベはまだまだオタク界隈での認知度が低い状態だ。

 漫画業界も未来でも未だに知名度がある作品も多い。

 映画もハリー・ポッターやマトリックスとかターミネーター3とかロード・オブ・ザ・リングにパイレーツ・オブ・カリビアンとかがある。


 ゲーム業界は黒い方の世界的大富豪、ビル・ゲイツが開発した奴がまだ勢いがあった頃だ。

 今では信じられないかもしれないが少なくとも後続機のハードに問題が続発するまでは他のハード相手によく頑張っていた印象がある。


 ラノベはまだまだ黎明期と言ったところか。

 2003年の時点ではラノベが一つのジャンルとして確立するなど信じられはしないだろう。

 ちなみにこの頃のラノベで2010年代の終わりのオタク諸君でも知っているようなタイトルはと言うとフルメタル・パニック、ブギーポップ、キノの旅、灼眼のシャナ、伝説の勇者の伝説とかがある。


 他にも涼宮 ハルヒの憂鬱や撲殺天使ドクロちゃん、半分の月がのぼる空、そしてデュラララ!で有名な成田先生のもう一つの代表作バッカーノ!もこの年代の作品だ。


 あれ? ラノベ黄金時代じゃねえのかこの年代?


 まあともかくそんな感じの時代だ。


 次に自分の身辺について語ろう。


 中学二年生の自分はいじめられっ子である。


 クラスカーストの底辺である。

 

 成績も悪い。


 これだけ言えば何となくだが想像もつくだろう。   


 正直不安だ――

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