幕間-気になる!-

気になる!

「気になる……あー、やっぱり気になる!!」

「ヒューリ、うるさい」

「何だよ、シンシアは気にならないのか?」

「……」

「リリアも気になるよな!」

「えっと、私は……」

「そんなに気になるなら、直接聞いてみればいいじゃない」

「うっ!」

「聞けばいい」

「ぬっ! じゃあシンシアは聞けるのか?」

「……」

「聞けるのか? 聞けないんだろ? 聞いてみろ! この口で、ほらっ!」

「アー!」

「ヒューリさん! シンシアをいじめないでください!」

「うぅ、すみません」

「ヒューリの、バカ」

「くっ!」

「もう、しょうがないわね。こうなったら、最終兵器を使うしかないんじゃない?」

「最終兵器?」

「そう、最終兵器」

「なんだそれは?」

「それはねぇ、ミアよ」

「おぉっ!」

「ミアに聞いてもらえばいいのよ」

「そうですね、それがいいと思います!」

「フェリシア、頭いい」

「うふふ、ありがと」

「リリア、ミアはいつ頃帰ってくるんだ?」

「えっと、そろそろ帰ってくると思います」

「社長とミナセは?」

「お二人は、遅くなるって言っていました」

「そっか。じゃあちょうどいい……」

「ただいまー!」

「ミア!」

「はいっ!」

「そこに座れ!」

「はいっ、すみませんでした! って、えっと、私、何かやっちゃいました?」

「ごめんね。ヒューリ、ちょっと気が立ってるのよ」

「気が立ってる?」

「あー、悪い悪い。そんなとこに座ってないで、こっちに来てくれ」

「ヒューリさんが座れって言ったのに……」

「リリア、ミアにお茶を!」

「はい!」

「シンシア、肩をお揉みしろ!」

「分かった!」

「ちょ、ちょっと、何ですか!?」

「ミアさん、お茶です!」

「あ、どうも」

「ミア、気持ちいい?」

「うん。あ、もうちょっと下を……」

「落ち着いたところで、いいかしら?」

「はい……って、あの、フェリシアさん、少し近い、です」

「あら、ごめんなさい。私としたことが、ちょっと焦っちゃったわ」

「……」

「じゃあヒューリ、お願い」

「えっ、私?」

「そうよ。だってあなたが言い出したことじゃない」

「むむ、仕方がない。じつは、ミアに頼みがあるんだ」

「何でしょう?」

「えっと、まあ、その……ミナセのことって言うか、社長のことって言うか……なんだけど……」

「はあ」

「……あのさ、最近社長が、ミナセのことを、”ミナセ”って呼ぶようになっただろ?」

「はい、そうですね」

「それでさ、その……どうしてそう呼ぶようになったのかが、ちょっと知りたいなって、思ったりして……」

「それなら知ってますよ」

「なにっ!?」

「誰に聞いたんですか!?」

「社長だけど……」

「ミア、強い」

「あなたって、やっぱり最終兵器ね」

「で、社長は何て言ってたんだ?」

「はい。ミナセさんがあの男と戦ってた時、思わずミナセって呼んじゃったらしいんです。そしたら戦いの後、ミナセさんに、これからもそうやって呼んで欲しいって言われたらしくて」

「なるほど」

「社長も、何となく気になってたって言ってました。ほかのみんなは呼び捨てなのに、ミナセさんだけ特別扱いしてるみたいだったって」

「そう、なんだ」

「ちょうど良かったって、社長、笑ってました」

「分かってしまえば、どうってことない理由だったわね」

「まあ、そうだな」

「ちょっと安心しました」

「納得した」

「こんな感じで良かったでしょうか?」

「助かったよ、ミア。これで今夜からゆっくりと……」

「ただいま」

「げっ、ミナセ!」

「ん? 何をそんなに慌ててるんだ、ヒューリ」

「い、いや、な、何でもないよ」

「ヒューリ。私は最近、新しい力を会得したんだ」

「新しい力?」

「そうだ。それは、嘘を見抜く力だ」

「何だって!?」

「お前、今嘘ついてるだろ」

「あ、いや……」

「隠し事、してるだろ」

「そ、そんなこと……」

「ミナセさんの新しい力、凄いです!」

「ミア、あなたって……」

「ヒューリ!」

「はいっ!」

「そこに座れ!」

「はいっ、すみませんでした!」

「だいたいお前は昨日も……」

「ヒューリさん、かわいそう」

「ヒューリ、残念」

「ヒューリさん、何で怒られてるんだろ?」

「うふふ、いつも通りね」



 気になる! 了

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