第4話 多国籍無頼漢

繁華街を歩いていたところだ

ひとりの青年が俺に店を勧める

興味ないと言って立ち去ろうとした

青年はなぜか俺について来る

いい加減にしろ! と俺は怒鳴った

青年が俺にこう言った

御武運を祈ってます!

青年の笑顔は一発の凶弾に消える

とっさに俺は物陰に隠れる

夜の繁華街は一転して悲鳴と狂気に包まれる

どこから撃って来た? 俺は冷静に動く

銃声の中から歪んだ正義が聞き取れる

ふたりが刃物を手に襲いかかって来る

肌は黄色だが彫りが深い

俺はそのふたりの倍は速く動かねばやられる

俺を狙うのはなんなのだ?

俺に流れる赤くたぎる血は一滴も流せない

警察車両が数台来たようだが銃声はやまない

しばらくのことが思い出せない

翌日の新聞のどこにも繁華街の事件は載っていない

闇に葬っているのだ

闇の一歩手前に俺は立っているのだろう

最後の青年のあの笑顔は闇に飲み込まれた

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