第19話 馬鹿

 馬鹿の基準はなんだ、と教師から問われた生徒がいる。

 その生徒は、人を馬鹿だと言った。

 だからだ。

 答えることは出来ず。

 まぁ、それだけの話だ。

 基準なんて、いちいち考えない。

 おのれも、馬鹿だと感じたら、馬鹿だと言う。

 ただ、勉強が出来るだけの奴を賢いとは思わない。

 勉強が出来ても行為や考え方が、可笑しいなら馬鹿だ。

 必ずしも、勉強が出来ないやつが馬鹿で、出来るやつが賢いというわけではないのはわかるだろう。

 勉強が出来て、学校のルールにも違反しない真面目君がこんな馬鹿な事をした。

 彼の感情は欠けていた。

 信頼はされていた。

 その信頼から受け取ったモノを彼は利用して、多くの人間を殺した。

 それが何であるか、は重要じゃないだろう?

 それを貴方に伝えたとて、じゃぁ、それを使わなければいいって話にされちゃそれこそ馬鹿だと笑いたくなる。

 まぁ、そこまで直球なタイプじゃないだろうが。

 モノが何であるか、どう使ったかは要らない。

 使わなきゃいい、しなきゃいい、その程度ならわかるだろうし、話す必要もないくらいの内容だった。

 それで満足してくれ。

 気になるのなら、いつかの新聞か、ネットで検索しまくるか、人に聞くか何かでもして調べりゃ出てくるだろう。

 彼自身、そしてその周囲の人間も馬鹿だった。

 彼が賢い、いい子だと、そして信頼してしまうなどと、勘違いも大きい。

 賢い奴ほど感情を欠きやすい、なんてこともあるが、彼の場合は賢いんじゃない。

 人間は増えすぎたから減らす、それが目的だったらしい。

 だが、その人がその辺の店よりかは多く集まる建物で多くの人間を殺して減らそうとしても、全体的に人間の数は大して変わらない。

 そりゃ、各地で何度も繰り返せば結構減るんだろうけどね。

 その程度で満足したんだ。

 そして逃走を測った。

 だが、彼の計画は他人を舐めていたんだろう。

 ぐにバレて終わりさ。

 あれが先輩だったなんて呆れたが、己は直接話す機会はまったくだったわけだから、関係はない。

 多くの人が死んだ。

 その中に、大切な人が入っていたって人も居ただろう。

 その場で死ななくとも、病院で息を引き取った人が半分。

 それだけじゃない。

 ちょっとイラッときただけで親を殺したり、祖母や祖父に暴行をくわえる馬鹿もいる。

 何が気に入らないって、くだらないことばかりだ。

 殺した理由が、自身の命を守る為ならば仕方あるまい。

 そうじゃない。

 だから、馬鹿は恐ろしい。

 一方的に愛していただけのそれでストーカー、殺人、監禁、なんだってするんだ。

 感情が欠けていようが、そうじゃなかろうが、程々ではない限りは危うい。

 自殺する方がよっぽどいい、と己は感じたね。

 まぁ、一番はそういう馬鹿が命を狩り取ろうと頭を働かせたり直感的に動いたりっていうことがないことだ。

 己の周囲には、危うい馬鹿が幾つかいる。

 自分が悪い自覚がない馬鹿、自覚があるがそれを注意等をされると逆ギレする馬鹿、、、。

 勘弁して欲しいものだ。

 貴方も精々殺されたり失ったりしないように生きることだ。

 身を守る手段さえあれば、跳ね返す勇気くらいあれば、怯えなくていい。

 貴方があんな馬鹿じゃないことを願う。

 馬鹿が馬鹿に殺されても、己は何とも思わない。

 己はそういう害を持った馬鹿を、まとめて「害虫」と普通に呼んでいる。

 口が悪い、等と言われてもしょうがない。

 そうなのだから。

 その害虫に、描いた自画像を切られたこともあれば、絵を台無しにされたこともある。

 そして、教師に害虫のせいで怒られる羽目になったこともあった。

 害虫をぶっ殺したくなるほど怒りを沈めている己も馬鹿だ。

 きっといつか、駆除しに行くだろう。

 貴方がその害虫じゃないことを祈る。

 己か、または別の馬鹿が貴方を殺すかもしれない。

 貴方が馬鹿ならそのままサヨナラだが。

 知らない内に、馬鹿に火を付けていないか、振り返った方がいいだろう。

 昨日も今日も、何処かで馬鹿が、誰かを殺したり、死なせたりしているのだから。

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