第20話 七不思議
小学校の頃に、七不思議という話があったのを思い出す。
花子さんの場所は、取り敢えず女子トイレだって言って怖がって一人じゃ行けない、なんて女子が多かった。
だから、
「二階の女子トイレの
すると、そこだけを避けるようになった。
掃除も嫌がるのだから、平気な己がやるしかない。
ホラーには強いのだという誤解が中学まで続いていたが、己はホラー系が大の苦手である。
何か怖いモノがある
お化け屋敷などだけは避けて、ホラー動画は見ているフリ、、、で笑っていたものだから皆本気にして引っ付いてくる。
アレは居心地が悪かった。
合宿などになれば、夜は怖くて手を繋ぎたい、、、という人が必ず己の隣で寝る。
タフ、強い、、、というのは嬉しいが幽霊の類には無効化されると思って欲しかったが、その子が眠るまではずっと手を離さないように、眠れないというのであれば眠れるまで大丈夫だと言ってやっていた。
七不思議は小学校なのに、中学、高校まで引きずる奴もいるから、どうしようもない。
さて、そんな七不思議だが何処の学校、小学校に限らず中学校、高校等にもある筈である理科室、理科準備室等に立つ人間味を持つモノ。
そう、人体模型だ。
それが動くだの喋るだのの話があるが、それは見た目が気持ち悪いだとか不気味だとかの理由から余計に、だったろう。
まぁ、己の学校ではその真隣に同じ方向を向いて立つ骨がある。
これも模型だ。
これが動く、喋るの話は少ない。
骨より人体が怖いか。
この小学校では、人体模型が立つ理科準備室の掃除も児童が任されていた。
理科室の掃除のついでに理科準備室もしなければならないことを嫌がって、トイレの次に誰もやりたがらない場所だった。
だが、必ず誰かがやらなければならない。
休みがいればソイツをそこにいれてしまえ、なんてこともあるが残念ながら理科室・理科準備室の掃除は一人や二人だけでは足りないのだ。
ホラー系が平気な奴が二人いて、別に良いとはいってくれても足りない。
休みをいれても、まだ足りない。
ジャンケンをして、嫌々掃除へ向かわされる。
当然、平気な二人が理科準備室を掃除する。
人体模型の前を何度も通りながら、別に気にすることなくホウキで掃いていく。
といえどいい加減な掃除しかしないから、途中でやめて帰るのがお約束。
掃除時間が余っていても、雑談に使ってしまうのだ。
ホウキを剣に見立てて遊び出すのも、男子ならではのように思ったが、よく考えれば女子もたまに混ざってやっているから、子供ならではに変えよう。
どうせ、中学高校でも同じように遊ぶバカはいる。
頭の中が子供な奴ならではで己としては非常に迷惑で邪魔だった。
今日も今日とて理科準備室の掃除だと二人が入るが、片方はいつもと違う児童だった。
一人が休んだのだ。
熱が出たとか何とか朝に担任の先生が言っていた。
それを思い出すと、さてジャンケンだ。
それで負けた奴が理科準備室の出入口付近だけを掃除する。
怖くて奥にはいけない。
だから、いつもより早く掃除をやめて出た。
その一人だけは、、、。
いつものもう一人は、人体模型で遊んでいたのだ。
内蔵をつっついて、取り出したりはめ込んだり、パズルのように。
その児童は掃除時間が終わっても、教室には戻って来なかった。
担任の先生が探しに理科準備室を来てみれば、人体模型と静かに向き合っている。
「教室に戻ろう?」
そう言うと、ギギギと頷いた。
何処か可笑しいな、と先生は不思議に思ったが、確認まではしないで一緒に教室に戻ったのだった。
次の日の掃除には、その児童はいなかった。
代わりに、休んだ児童が来ていた。
人体模型の前を通ろうとすると、声がした。
「体が欲しい」
人体模型を見てもなんにもない。
首を傾げたが、人体模型を見てふと思いついた。
パズルみたいだと。
内蔵を取り出したりはめ込んでみる。
楽しいのだ。
が、いきなり人体模型が倒れ込んできた。
児童は驚いて飛び退いた。
人体模型はバラバラになって、顔を児童にギギギと向ける。
児童は驚きのあまり動けなくなっていた。
「体が欲しい」
その口が今日来なかった児童の声で言うのだ。
児童は走ってやっと理科準備室から出ると、遊ばずに掃除時間の終わりを待たずに教室に逃げ帰って担任の先生に泣きついた。
そしてこう叫んだ。
「人形になっちゃった!」
人体模型を人形だと良い表しながら、意味不明なことを言う。
担任の先生は詳しく話を聞こうとすると、続けて児童は言った。
「今日休んだアイツが、人形になって、バラバラになったんだ。」
担任の先生が理科準備室へ行ってみると、涙を流しながらバラバラになったまま倒れている人体模型を見つけた。
今日、学校に来なかった児童は、行方不明になり、人体模型は学校が処理してしまった。
意味不明を叫んだ児童は、きっと今は高校生だ。
人体模型を見る度に思い出すんじゃなかろうか。
泣く人体模型と、その中に居る友人のことを。
人体模型で遊んではいけないね。
まぁ、人体模型も子供のように動いてみたかったのかもしれない。
動ける体が欲しかったのかもしれない。
人体模型に限らない話、、、かもしれないが
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます