第17話 かごめかごめ

 かごめかごめ かごの中の鳥は

 いついつ出やる

 夜明けの晩に つるかめが滑った

 うしろの正面だあれ?


 この歌詞を知っているだろうか?

 子供の遊びで歌われる歌詞である。

 そう、かごめかごめ。

 歌詞はその住む場所によって異なるだろう。

 今でもする遊びであるが、小さい頃と比べれば、ちょっと難易度を上げてしまう。

 鬼は目を隠して中央に座り、その周りを他の子が輪になって歌を歌いながら鬼の周りを回る。

 歌が終わったと同時に回るのをやめて、鬼は自分の真後ろ(うしろの正面)に誰が立っているのかを当てるのだ。

 勿論、一人や二人やでは出来ない。

 まぁ、一度やってみると楽しいだろう。

 かごめかごめ、というのにも様々な意味がある。

 囲め囲め、と呼び合うのも一つ。

 調べてみるのも面白いだろう。

 歌詞の意味はそれぞれ多くの意味をもっていたり形をしていたり。

 貴方の住むそこではどんな歌詞でどんな意味を持っているのだろうか?

 かごめかごめには、陰謀いんぼう説、囚人説神示説等がある。

 さてさて、どれなんだろうか。

 これにはやはり興味をそそられる。

 ただその説は歌詞からの説である。

 降霊術説というのもある。

 これは、コックリさんと同様の交霊術に使われる歌であるという説になる。

 呪術説、遊戯説、、、というように、少々恐ろしいものも混ざっているわけだ。

 だから面白い。

 運動場の片隅で、円が回っている。

 中心には一人が目を隠して座っている。

 かごめかごめ 籠の中の鳥は

 いついつ出やる

 夜明けの晩に 鶴と亀が滑った

 後ろの正面だあれ?


 かごめかごめ、、、


 放課後だった。

 あの子ではないか、この子だろう

 と当てようと名を言う。


 後ろの正面だあれ?


 声が増えた。

 誰かが加わったんだろう。

 でも、それじゃ困る。


 うしろのしょうめんだあれ?

 うしろの、、、


 だあれ?


 何度も何度も聞いていると、段々変な感覚になっていく。

 ちょっとズルをしようとこっそり目を少しだけ開けてみる。

 すると正面の影が可笑しな形をしている。

 クルクルと回る影はどれもこれもが、知らない影だった。

 名前は当たらない。


 かごめかごめ 囲いの中の鬼は

 いついつ終える?

 夜明けの晩が 鬼と影に迫る

 後ろの少年だあれ?


 翌日、運動場でただ一人目を隠して延々と名を呼ぶ少年が怯えたようにガタガタと震えていた。

 周りで歌を歌っていた友人たちは、口を揃えてこう言った。

「昨日はぐに家に帰ったから、何も知らない」

 と。

 ドッキリのつもりだったのなら、もう明かしていいだろう。

 もし、そうじゃないのなら、この子は一体誰とかごめかごめを続けていたというのか。

 後ろの少年、だあれ?

 後ろ、うしろ、、、少年の後ろには死んだ鳥が横たわっていた。

 少年が籠の中で買っていた鳥が、少年の家からいなくなっていることがわかった。

 そして、その鳥がそこで死んでいることも。

 籠の中の鳥の気分を味わえたのなら、少年はもう鳥を籠に閉じ込めて遊ぶなんてことはしなくなるだろう。

 さて、今頃少年は、何をしているのかおのれは知れない。

 貴方もしてみませんか?

 かごめかごめ、を

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