第7話 お稲荷様

 ある有名な野球部がある高校の運動場の真隣には、神社があった。

 今は取り壊され、その高校の運動場と化してしまったが。

 そうそう、その有名な、というのも今では過去の話だろう。

 お稲荷いなり様の神社、つまりは、お狐様がいらっしゃるところだ。

 狐というのは、見返りを求める者なのだ。

 稲荷寿司、またはお稲荷さんという食べ物を知っていると思うが、それをお稲荷様へお供えし、お願い事を頭を下げて頼むというのは昔からある。

 そもそも、お稲荷様にお供え物も無しに願いにいくなど普通あってはならないし、失礼だというか、いけないことだ。

 それを知らない人が、多いらしいが大丈夫だろうか?

 そもそも、お稲荷さん(稲荷寿司)をお稲荷様へのお供え物であることすら知らない人がいたりする。

 昔の人がそういうつもりで作り出したのを呑気に食いながら、しかし、お稲荷様にはお供えせず願いをするとは、、、。

 まぁ、その話は置いといて。

 その野球部が有名だった高校は、お稲荷様へお供え物も無しの、無事に試合を終えられますように、なんてお願い事を毎年行っていた。

 最早もはや、その行為は気持ちの問題だと片付けていい話になってくる。

 だが、その高校の野球部に異変が起こった。

 それは、運動場を広げた後からだ。

 突然部員が発狂し、病院送りになったり、事故を起こして怪我をするなどが多発した。

 顧問の教師は、原因不明の異変をどうにかしようと、おはらいを頼んだが、理由を話すと断られた。

 ついには、試合に出ることは叶わず、有名という名も失った。

 部員は野球部を恐怖からかやめていく者、新人も入らない、という状況で廃部になりかけていた。

 断られた時に、原因はわかってしまった。

 運動場を広げる為に、使われていない神社を取り壊したという説明をしたら、それが原因だと。

 お稲荷様がお怒りになられ、その結果がその異変だと言った。

 どんなに頼んでも、「こちらの身が危ういので申し訳ありませんが出来ません」ばかりだった。

 そもそも、使われていない神社、というものは存在しない。

 何年も経ってようやくその高校の野球部は復帰したが、今でも謎の発狂を起こす部員が一人は試合前になると出てくるのだという。

 神社があった運動場のその場所だけは、立ち入り禁止となり、立ち入った生徒はたとえ野球部でなくとも、事故を起こして病院送りになってしまうので、教師はその目を厳しくさせているのだとか。

 お稲荷様のことを少しでも知っていると、そんなことは起こらないんじゃないかと、おのれは密かに思っているのだが。

 そもそも神頼みという行為を、都合のいい時だけしてないで、自分らで細心の注意を払ったりとか、それぞれ気を付けていればいいものを。

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