第6話 再戦の時
「アスタ!」
この人がミルケの友人?どことなく小悪魔的印象を覚えるが…
「遅くなってごめんね~…ミルケ、この子達は?」
「あぁ!さっき出会ったばかりのラルスくんとクロウちゃんだよ!何か事情があってこっちに来てるんだって!」
「よろしく。」
「よろしくお願いします。」
「え、あぁ…よろしく…」
想定外だからそりゃ困惑するだろう。まぁ俺達もお邪魔して悪いんだけど。
「アスタは悪魔なんだ!ずっと幼い頃からの友達でね!」
「友人って悪魔だった…」
自分の種族を隠したりせずに言えるこの世界。流石は共存されたと言っても過言ではないな。
「出会ったばかりであんなに馴れ馴れしいなんて…」
「私の主が飛んだご無礼を。主に変わってお詫び申し上げます。」
「いや、全然大丈夫なんだけど…逆にクロウちゃんは堅すぎるんだよね…」
ー数時間後ー
「俺達、遊びにお邪魔しちゃって良いのかな?」
「へーき!へーき!こういうのは複数で行った方が楽しいもんね!」
「久しぶりだな…ラルス・マーセル…!」
「ッ!?」
まさか…本当に出くわすなんてな…!
「ドメイク…!」
「誰?知り合い?」
「ミルケ!アスタ!今すぐここから逃げろ!!早く!!」
「ら、ラルスくん達は!?」
「今一度、こいつと決着をつける!!」
ドメイクは既に戦闘モードに入っている。これではいつ彼女達が襲われてもおかしくない!
「俺達はまたこの世界に来る。約束だ…その時は、また一緒に飯食おうぜ。」
「……分かった!」
ミルケとアスタは逃がした…後は目の前のあいつのみ!
「クロウ。」
「分かってます。」
シュン…
長刀に変化したクロウを握り、俺達も戦闘体勢に入る。
「今日だ…今日がお前の命日となる!!」
「悪いけど、死ぬのは御免だぜ!!」
キィン!!
剣と剣の激しくぶつかる音だけが都市にこだまする。クロウの秘策はまだだ…まだその時じゃない…!
「ぬぅん!!」
ブンッ!!
「うぉ!?」
鋭く強力な豪腕が剣との合間に突き出て、危うく食らうところだった。ただ、俺達も体術を磨いている。パワータイプの攻撃に対抗するために!
「にゃろっ!!」
ガンッ!!
「ぐっ!?」
避けた反動をそのまま回し蹴りに移行し、がら空きになった奴の腹に命中させる。
「まさか…お前も体術を…」
「そうだ。あの日からお前に対抗するために密かに積み重ねて来たんだよ。」
「だが、そんなもの…すぐに捻り潰す!!」
あーあ…こりゃ頭に血が昇ってんな。
『ラルス様、恐らく剣術同士ではダメージは与えられません。隙をついて体術で攻めていきましょう。』
「…言われなくても分かってる。」
「ふんっ!!」
ガキィン!!!
「剣術の攻めじゃお互いダメージ通らないぜ?」
ドゴッ!!
「ぐぼぉ!!」
今度はつばぜり合いの最中、腹に拳を食らわせた。ある意味クロウの時のお返しとも言える…
「クロウ…そろそろ良いか?」
『はい、いつでも。』
「くそっ…!貴様ぁぁぁぁぁぁ!!!」
来た!!
「ぐわっ!!」
ガキィン!!ザシュ!!
俺は突進してきたドメイクにわざと弾き飛ばされる素振りをしてクロウを奴の後ろに投げ飛ばした。これでセッティング完了…!
「うぉぉぉぉ!!!」
「ついに肉弾のみとなったか!!ラルス!!」
へっ……こいつ罠に引っ掛かってるな。
「バカか。強くなったのは俺だけじゃねぇ…」
「何ッ!?」
スッ……
「クロウ(あいつ)も強くなってるに決まってんだろうがッ!!!」
「ハッ!!」
「うぉらァ!!」
ドスッ!!!
奴の首筋の両側から俺とクロウの回し飛び蹴りを奴はまともに食らった。
「ッ!!?……くそっ……」
バタッ…
倒した…やったぞ!!奴に勝ったんだ!!
「これ完全にピよってんな。」
ドメイクは首筋に蹴りを受けた衝撃で気を失っている。
「にしても考えたなクロウ。わざとやられたふりをして元に戻ったお前と俺で蹴りを食らわせるなんてよ。」
「不意打ちの基本です。」
とりあえず、奴は反省しただろうからこのままほっといて俺達は帰るか。
「ドメイク様!ドメイク様!」
マクシムは主であるドメイクの体をゆすった。しかし、彼からの返事は全く返ってこない。
「全く……使えない人ですね。」
カツーン…カツーン…
池袋の都市に「彼女」のヒールの冷たい音だけが鳴り響いた。
続く。
次回のロスト・メモリーズは
「吸血鬼…?」
「次の世界は「吸血鬼の世界」。会うべき人物は吸血鬼の男です。」
「ここに「セリド・ヴァンプティム」という男はいるか?」
「それ…私の父の名よ?」
「さぁ、夜の営み…一緒にしましょー?」
「おいバカ!!待て待て!!待てって!!」
次回「吸血鬼の世界」
「この世界…魔獣が出ない…?」
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