第1話 希望の世界

朝食を食べている間、俺は今日夢見たことを考えていた。あれは確かに幼い頃の俺だが…俺には野原を駆け回った記憶がない。単に覚えていないだけなのかもしれないが…

「朝食は如何でしょう、ラルス様。」

「あ、ああ…今日も美味い…」

クロウの料理に関しては一級品だ。だけどクロウは厳しいからなぁ…食べ物残したら絶対怒られるし。早いとこさっさと済ませて目標の世界に行きたい。

「では私は家の掃除をしてきます。食べ終わった食器などは台所に置いて下さい。」

そういや…あいつが笑った顔って見たことがないな。俺が小さい時からずっと険しい表情を崩さないで見てた気がする。クロウは決して悪い奴じゃないんだけどずっとあの表情だと何だかいづらい。


ー数分後ー


「ごちそうさま。」

朝飯食べ終わったことだし片付けて、少し外の様子でも見るか。

「はぁ~やっぱ外の空気は気持ちが良いもんだねぇ~」

綺麗な野原を前に呟く。俺の世界はいたって普通のように見えるが魔獣やら何やらがそこら中にいる。世界の異変とはこの魔獣達が他の世界で暴れたりすることを主に指す。俺の一族はみんな異変を起こす魔獣達をとっちめてきたってわけ。

「何をしているのですかラルス様。」

「うぉ!?お前も外にいたのか?」

「玄関を開ける音がしたので行ってみたらラルス様でしたので。」

おい待て、この家言っちゃあれだけど豪邸だぞ!?二階とかにいたら絶対聞こえないはずなんだけど…耳がいいのは武器人間だからか?いやこれはクロウの元々の耳がいいからか。

「それより、今回行く世界は何処なのでしょうか?」

「今回行く世界は「希望の世界」だ。ここよりもちょっと先の未来の世界らしい。そこで会うべき人物は「桐山模音」という少女だ。」

「了解致しました。」

俺はその場で丸い円状の扉を生成し、扉を開ける。この扉の先に俺達が行くべき世界が広がっている。俺はこの瞬間がたまらなく好きだ。

「行くぞ、希望の世界へ!」

ガチャ…シュゥゥゥン…



ー希望の世界ー



ガチャ。

ここが希望の世界…どうやら日本の東京に着いたようだ。

「今回のターゲットの桐山模音は「ホープミュード」と呼ばれるロボット兵器を操ることが出来るみたいだな。」

「ロボット…?何故そのようなことを…」

「まぁ会ってみれば分かるだろ。」

「しかし…これだけの人だかりでどうやって模音様を探すのですか。」

そのことに関してはもうじき「ある奴」がやってくることで桐山模音は現れる。何故なら彼女はその「ある奴」を討伐することが使命だからな。

「もうじきに来る。身構えておけよ。」

「キャー!!」

遠くで女性の悲鳴が聞こえた。どうやら出たみたいだな…「ある奴」が!!

「俺らも急ぐぞ!」

逃げる人々を避けて逃げている方向とは逆に進む。そして人だかりから抜けた俺達の前にいたのはまさしく今回会うべき人物だった。

「市民を傷つけはさせない!!オープンガントレット・バトルスタート!!」

バシュ!!

携帯型の端末から青色のロボットが出現する。戦おうとしている彼女はまぎれもなく「桐山模音」だ。彼女の向かいには紫色の模様が無い謎の生命体が存在していた。

「あの方が…」

「そう。今回のターゲットだ。向かいにいるのはこの世界での敵「リゾネーター」…ここからは俺達も加勢するぞ!」

「承知致しました。」

シュン…

クロウは体を瞬時に長刀に変化させ、俺の手元に握られる。

「早いとこ短期決戦で行く…いいな?」

『ラルス様が「出来れば」の話ですが。』

続く。



次回のロスト・メモリーズは

「せいっ!!」

「ホープミュード無しで…リゾネーターを!?」


「俺達は他の世界から来た。」

「他の世界から…じゃあ何で私の世界に…?」


「出やがったな魔獣さんよ。」

「私も、一緒に戦う!」


次回「絶望を振り切れ」



「何か、後々凄いことが起こりそうだな…」

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