ロスト・メモリーズ

Next

プロローグ

小さい頃の夢を見た。暖かい…日の光を浴びて家の庭を走り回る俺がいた。だが、その暖かい夢は不意に真っ黒な画面になり、クリーム色の天井を映す。

「…ラルス様。」

「うぉあえ!?ビックリした…」

俺の目の前に見慣れた少女の顔が現れる。こいつはクロウ。俺に仕えているいわば世話係のような人だ。……こいつの場合、人でも「武器」でもあるんだが。そう、こいつは武器に変化出来る「武器人間」という種族だ。普段は少女の姿だが、「あるとき」になると武器に変わる…そんな奴さ。

「おいクロウ…今何時だ?」

「現在の時刻は10時を過ぎております。」

「それは昼なのか?朝なのか?なんでどうもこうもハッキリしねぇ時間に起きちまったんだ…」

寝過ごしたのは自分のせいだが、これに関してはこんな時間帯に起きた自分を責めたい。

「世間から見て、この時間帯は昼に近いでしょう。既に朝食はご用意しております。」

10時過ぎに朝食とか…昼飯は一体何時になるんだ。俺は寝る用の服から私服に着替え、自室のドアを開ける。



俺はラルス・マーセル。世界を行き来する一族の最後の人間だ。





ーロスト・メモリーズー

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る