第2話

そんなある日のこと、素晴らしくキレイな生地を買い付けてお母さんが帰って来ました。


「あら、みんなはどこだい?」


「みんな仕事が嫌だと言って出ていったわ。私だけで仕事をしてたのよ。」

とお姉さんは答えました。


マリは長い間、何を言っても怒鳴られる生活で口がきけなくなっていました。


しかし、お母さんはマリの様子がおかしいことにも気付きません。


「留守の間、大変だったでしょ。今日はおいしいものでも食べにいきましょう。」

とお姉さんと2人で出掛けてしまいました。


マリはせっせと服を仕立てました。

言葉が話せなくても、この仕立てた服を見て欲しい。

何日もかけて、素晴らしい服が出来上がりました。


それをお姉さんは素早くマリから奪い取りました。

「お母さん、この服私が仕立てたの。どうかしら?」

「素敵に仕上がったわね。これならお客さんが喜ぶわ。」


お店のショーウインドーに飾られました。


それから、以前のようにたくさんのお客さんがやってきました。


マリは毎日、毎日閉じ込められた部屋で服を仕立て続けました。

そして、完成した服をお姉さんに奪い取られました。






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