第4話 訓練。そして、初の大迷宮。 ー2
俺たちは、今王宮の外の門の入り口に集合している。今からアリスレナ大迷宮に潜りにいく為だ。アリスレナ大迷宮は王都の外れの方にあるらしい。馬車で行くらしく一時間以上かかるとか。もっと近くに迷宮ねえのかよ……。
俺が心の中でそんな文句を言い、溜め息をついていると、
「蓮斗。大丈夫か。……疲れているように見えるけど……」
俺に心配の声をかけてきたのは俺の同類兼親友の秀治だ。因みに秀治の職業は妖精使いだ。
「……ああ。大丈夫だ。心配かけてすまないな」
「無理すんなよ?」
「おう。ありがとうな」
秀治はそれだけ言い終えると自分達の班へ戻っていってしまった。何とも素っ気ないと思ったが……。まあ迷宮に潜る前だしあいつなりに緊張しているのだろう。
しばらくすると、数台の馬車と共に騎士団団長のレギーロの姿と騎士団員達の姿が見えた。レギーロ達も俺たちの姿を確認すると、こちらの方へ近づいてきた。
「待たせてすみません。それでは皆さん班ごとに馬車にのって下さい。アリスレナ大迷宮へ出発します」
レギーロの言葉に俺達は返事をし、馬車に乗った。この時、俺たちは思いもしなかった。まさかあんな事が起きることになろうとはー。
ー1時間半後ー
「皆さん、着きました。ここがアリスレナ大迷宮です」
レギーロがそう言い、目の前の迷宮を指差した。俺たちもレギーロの指し示した迷宮を見上げる。ブロックが積み上げられて造られており、螺旋階段のようにうねっており、地上から見上げてもてっぺんが全く見えない。
「……こりゃーすげーな」
初めて見た迷宮に俺は思わず感嘆の声を漏らした。
「今から、アリスレナ大迷宮に潜ります。20階層までだからといって気を抜かないように。それと迷宮内にはトラップが存在します。ですので、私が先導してトラップを回避しながら20階層まで行きます。しっかりついてきてください」
レギーロがそう言い、少し緩み始めていた雰囲気を引き締め直し、歩き出す。おれたちもそれに続き歩き出す。後ろには騎士団員たちも続く。
迷宮の中に入ると、思っていたよりも明るかったので少しほっとした。
俺達が辺りを警戒しながらしばらく進んでいると、俺のスキルの気配察知に何かがひっかかった。何だろうと思い、しばらく気配のしている方を見ていると、
ピチャッピチャッ
青いスライムが6匹現れた。動きがとろく、攻撃力もそんなにないように見える。これならー。
「皆さん!気をつけて下さい!!あのスライムは見かけ以上に俊敏性と攻撃力があります!!」
レギーロがそう言った直後、スライムが物凄い速度で襲ってきた。レギーロは鞘から剣を抜き、危なげなくスライムを切り捨てた。
すると、それを合図に残り五匹のスライムが凄いスピードで襲ってくる。
「皆さん!!各班で一体ずつ連携して倒してください!!」
「 「「 「 はい!!」」」」
俺たちは、団長の指示に従い連携してスライムの相手をする。
大分苦戦を強いられることになったが、なんとか倒せた。モンスターを倒すとコアが落ちるらしい。コアとはいわゆる魔石の事である。その回収も忘れない。コアを集めると、換金できたり、素材と交換できたりする。冒険者にとっては大事な資金源らしい。
しばらくモンスターを倒しながら進んでいった。犬型の魔物や、頭が二つある蛇の魔物など色々な種類に遭遇した。中でも一番厄介だったのが、ミニウルフみたいな魔物だった。そこそこに知性もあってこちらの攻撃を回避したりしてきたので、倒すのにも時間を要し、苦戦を強いられた。因みにスライムは三番目に厄介だった。
(ここに出た魔物のほとんどが、二十階層以降の魔物なのですが……。下の階層で何かがあったのでしょうか…。この子達に知らせて混乱を招きたくないですし……。まあ、無事にたおせいるようですし、何も起こらなければいいのですが……)
騎士団団長が険しそうな顔でそんな事を考えていたが、言葉に出たわけではないので気づいた人は誰も気づかなかった。
しばらく進み、20階層まで到達した。今俺達はボス部屋の前にいる。因みに10階層のボスは緑色のビッグスライムで、青いスライムみたいに動きは素早くなかったが、巨体なだけに弱点である、スライムを形作る魔玉がなかなか見つからず探すのに苦労した。攻撃は大したことはなかったので魔玉を探すのに専念できた。因みに魔玉と魔石(コア)は違うものだ。
「皆さん。ここの部屋をクリアすれば今日の訓練は終了です。……くれぐれも最後だからろ言って気を抜かないように」
レギーロの言葉に俺達は返事をする。と同時にレギーロがボスの部屋への巨大なドアを開ける。ギギギ……と音がして扉が開く。
レギーロがその中に入って行き俺たちもそれに続く。中に入ると妙なことになっていた。
……誰もこのボス部屋にいないのだ。レギーロもこの妙なボス部屋に頭が困惑したが、それでも警戒をつづけていた。俺たちも困惑しながらも周囲の警戒を続ける。
すると、俺の気配察知に何かが引っかかった。前方に気配を感じる。しかし姿が全く見えない。……透明化の魔法でも使ってるのか?
すると、前方にいた何かがその姿を現しはじめた。その姿を見たレギーロは、
「な、な、なんだと……………!?」
驚きと困惑と恐怖、そして焦燥に満ちた顔をしていた。
「な……なぜっ……。やつがこの階層に……」
前方に現れたその姿は。
フードを被り、顔が骸骨で両手には鋭い鎌が握られており、暗いオーラに包まれたー。
死神のような姿をした巨大な化け物だった。
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