第5話 そして春。

お昼寝して超ご機嫌なカンタくんは大好きなバイクに乗って玄関で待っている。

「ママー。早くちて。いこ、公園」

マンションの扉あけたら、明るい日差しが入ってきた。

3歳になったカンタくんは目元が彼にそっくり、ボール遊びが大好きな男の子。

家にいられなくなった。

父からは勘当された。近所の人に陰口たたかれたし、毎日母が泣いていた。父と母には申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

私のわがままだった。お腹の赤ちゃんの心音聞いた日、一生懸命生きているこの子をおろすことなんてできなかった。

少し家から離れたとこにあるこのマンションを借り、引っ越しした。

塾の講師しながら母や保育園に預けてなんとか、ここまで大きくなった。

本当に可愛い。ちょっとした仕草が似てるなって思うと少し心が痛い。


公園のベンチで待ってると、

「栞先生!」

そこにはスーツ姿のショウタがいた。

「俺、ちゃんと大学卒業して就職したよ。

今度こそ一緒に3人でいきていこう。

1人で頑張らせてごめん。そして俺の子産んで育ててくれてありがとう」

涙が次から次へと流れてきて止まらなかった。大人っぽくなって、ますますカッコよくなっていた。

「ここ教えてもらうのに栞先生とこの親父さんに土下座した。それから三発殴られた。親父さん泣きながら。」


びっくりして、カンタくんが駆け寄ってきた。

「ママ泣かすやちゅ、カンタがやっちゅけたる。エイ」

パンチしてくるカンタくんをショウタが抱きしめて

「はじめまして、カンタくん。パパだよ。

遅なってごめんね。」

それから肩車されてキャキャ言いながら2人はこっちを見た。ショウタが手をさしのべて言った。

「さあ、行こう。栞先生。じゃなく、栞。」

頼もしくなったショウタの手をとって、駆け寄った。


愛がはじまる。

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先生 @ayuna_ebi

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