第2話 夏

今日からゴールデンウイーク。

遠征行くため、駅までいつもより多い荷物もって歩いていると、栞先生の車が停まった。

車からおりてきた先生はいつもより明るい化粧が若く可愛く見える。そしていつもは学校に地味な紺や黒のスーツしか着ないのに水色のワンピースをきていた。

「学校?荷物多いなら送ろうか?」

「彼氏とこいくん?」

「そうだけど。まだ時間あるし。」

そんな嬉しそうにおしゃれしてる先生をみていたらふてくされて意地悪を言った。

「大丈夫。先生彼氏とこ行けば。」

「わかった。じゃね。またね。」

そして車が去っていくのを見て、ちょっと寂しくなった。


高校総体が近いころ、珍しく栞先生が遅刻してくる。

「どうしたん?目真っ赤だけど。」

「黙秘権を行使します。」

「は?意味わからん。彼氏とでも別れたん?

あ、図星なんやー。」

「ショウタくんはサッカー部のエースだから男女問わず人気ものやもんね。そんな人に私の気持ちなんかわからんやろ。」

「何あったん?」

「彼氏が浮気してた。親友と。彼と親友2人いっぺんに失った。

情けないやら悔しいやら。離れていたから?」

「そうではないと思うよ」

「じゃ親友のほうが私よりよかったってこと?」

「それもちがうと思うよ。」

「行って問い詰めようかとも思ったけど!」

「それは辞めたら、重いわ。男からみたら。

なんせ少し冷静になったら。

わかったわ。今日は帰り電車で帰るから先に帰って、頭冷やした方がいいんじゃない。」


高校生相手に逆キレかい!と思ったけども先生が取り乱しているなんで23才の女の子だったんだなって思えて少し可愛い。とは言えない。


次の日は高校総体県予選決勝の朝は球技場へ直行だから別々に、後から応援の生徒達と一緒に栞先生はくるらしい。

今日が高校最後のサッカー気合いはいるし、負けたくない。


はじまりのホイッスルがなる。

相手は県一の強豪校。

前半はディフェンダーやキーパががんばって苦しい時間を乗り越えた。

後半始まってすぐ、相手の猛攻が続いた。ディフェンダーの裏をかかれてしまい、手痛い失点。

でも諦めない!諦めたくない。

「まだ1点だ。頑張ろう!」

小さい時テレビで勝ちたい!の想いが強いチームが勝つんだって言ってた。

後半の終盤、勝負だ!両サイドバックからのオーバラップ。2人とも3年間一緒に頑張ってきた仲間見なくてもどこを走っているか感覚でわかっている。何回も練習した。セットプレイ。右サイドバックからワンタッチでトップ下自分の足元に。ワンタッチで返してまたワンタッチでトップ下自分にもどる。サイドチェンジしてオーバラップしてきた左サイドバックの少し前に出す。必死に食らいついてボールに追いついたら、トラップなしでクロスが上がる。

そのクロスに合わせて自分はヘッドで飛び込む。ヘッドでゴール左上に決まった。

嬉しくて仲間の元へ走って行った。みんなでとった一点だった。



1-1で、前半後半そして延長戦しても決まらない。PK戦。

仲間と肩を組んで一人また一人蹴っていく。

五人目相手が外した。

そして僕が蹴る。入った!

わー!優勝の歓喜の中にいた。


帰り栞先生と一緒に帰った。

まだ僕は、興奮していておさまらなかった。

「去年先生と聞いたグリーンの歌覚えている?」

「うん、聞いたね。」

「あの時あの歌に出会ってなかったら、今の俺はいない。叶えたい夢って何だろう?俺の夢ってサッカーをみんなで悔いなくする。ってこと。そのために何言われても笑われてもよくなった。毎日汗水ながして歩み続けてみようと思ったよ。それからはサッカーみんなでできることに感謝した。

グリーンの歌にすべてやれてるかい?ってあるよね。俺はすべてやれたよ。って今なら答えれる!栞先生ありがとう。」

「ちょっと先生みたいな事言うと家族にも感謝の心これからもわすれないでね。」

「大輪の花ってらこういうことだったんだな。満足感?あーその上俺今日嬉しすぎて、まだ帰りたくないよ。」

「子供みたいなこと言わないで。

公欠で受けれなかった授業あるから宿題しなきゃいけないでしょ。」

「…」

「しょうがない、うちでしょう。」

栞先生の家は真っ暗だった。

『そっかお母さんいないんだった。』

部屋は女の子らしい、シンプルな家具がならんでいた。

「女の子の部屋に、はいったことないけど、いつも綺麗にしてるんだね。」

照れてる栞先生が可愛くみえた。

栞先生は問題の解説うまいなと、思いながら、しばらく宿題したけど集中できない。

「ねぇ、聴いてるの」


次の瞬間、腕をひき、覆い被さりキスした。ひっぱかれてもよかった。まだ興奮していてなんでもできそうだった。はじめてだからぎこちない。

最初は軽く、それから深く舌を中に入った。栞先生は受け入れてくれた。

少しはなして


「やめて、私は先生よ」

「俺、栞先生好きだよ。去年久しぶりに会った日からずっと。」


また深くキスすると最初は抵抗されたけど、力がだんだん抜けていき、とろけたような表情になった。手は胸を優しく撫でた。着痩せするタイプ?なんだな。意外にある胸を服の上から撫でた。

俺にとって忘れられない大事な、満たされた夜になった。

『やっと栞先生が俺のものになった。』

先生とすべてがひとつになった。


「好きだよ。先生。」

気を失った先生に優しくキスした。

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