猫の日

拝啓、猫先生

 春の陽気のごとく暖かい日です。ひだまりで丸まりながら夢を見ているのではないでしょうか。この陽気も長くは続かず、また寒さが戻ってくるらしいです。体調管理には気をつけたいものですね。

 振り返ってみると、今月は色々ありました。なにもないように思えても、毎日は変化の連続ですので色々あるのは常なのですが、とくに今月は心が揺れたりぶら下がったり落ち着かない日々が多かったです。

 歌の文句にあるように、「振り返る暇もなく時は流れて帰りたい場所がまた一つずつ消えていく」のは物悲しいものがあります。

 記憶には場所が重要だと思われるかも知れませんが、大事なのは場所よりも、だれと一緒だったのかが大切なのではないでしょうか。

 あの人と見た景色、あの人と過ごした時間、その場所。

 あの日々には戻れないのに、不思議と思い出せば手を伸ばせば届くところにあるような錯覚をおぼえてしまう。

 夢は見ている間は幸せですが、覚めたあとの寂しさは、怒りに似ている気がします。怒りは反応であって、感情ではないですからね。

 どんなに科学が発達し、ネット環境が整備されたとしても、人の手足の長さは昔と何も変わらず短いままです。そんな事に気づかず、なんでもできてしまうと錯覚し、厚顔無恥になる輩は世に蔓延っているように感じます。

 そんな過去の愚かさを嘆くより今日の暖かな日を堪能しよう、そのほうが健康的だと猫先生はおっしゃることでしょう。

 でもね、今年は花粉の飛散が去年よりも多いそうです。

 とくに暖かな日は、多く飛んでいます。

 例年、先生も鼻水を垂らして困られていたではありませんか。

 良い面をみながら悪い面に目を向けるより、悪い面を見ながら良い面を見つける方が建設的だといわれそうですね。

 花粉が飛ばないなら、暖かな日は好きですね。洗濯物もよく乾きますから。

 今年は花粉症に悩まされませんように願いつつ、猫先生もお困りになりませんようご自愛ください。

                              敬具


 

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