珈琲の日
拝啓、猫先生。
台風一過です。
空は晴れて、気温も上昇。あっという間に夏に逆戻りです。
昨夜の台風は雨風が強かったですが、大丈夫でしたか?
九月にやってきた台風に比べると、被害は少ないように見受けられます。ただ、河川敷の雑木林まで水に使っているのをみると、雨がすごかったことが伺えます。
この一ヶ月あまり、いろいろ悩んでいたことも、台風が一緒に吹き飛ばしてくれたみたいに、心が晴れやかです。
雨は不思議です。降っているときは気持ちを重たくさせるのに、ひとたび上がれば、すべてが美しくみえてしまう。
名も知らぬ人々が流した情念の涙なのかもしれない。
こんな事を考えてしまうから、女々しくなるのでしょうか。
以前は、誰かのためにしか頑張ってきませんでした。誰かに相談したい、頼りたい、助けてほしい、そんな思いが強ければ強いほど、誰かを助けていました。見返りも求めず、優越にも浸らず、呼吸するようにしていたと思います。
すべてが終わった時、私にはなにも残っていませんでした。これでおしまいでもよかったのですが、気づいてしまったのです。私は、私を喜ばせてこなかったことに。
私がよろこぶことを私がすることで、自分と向き合う誰かのためや何かのためになり、めぐりめぐっては恩返しになる。
そう考えを改めました。
きっとみんなは、当たり前のようにしてきたことかもしれないけれど、遠回りしてようやくたどり着きました。
猫先生にしたら、なにを当たり前のことをいまさら、と呆れて毛づくろいすることでしょう。
他の人はわかりませんが、少なくとも私は、あれこれ考えすぎてしまうタイプのひとなので、簡単なことも難しく捉えてしまっていたのです。
昔から、いつでも、のんびりと自分がよろこぶことをしている猫先生を見てきたのに、私はなにを見てきたのでしょうね。
まだまだ猫先生にはかないません。
今度お見かけしたら、なでなでしてあげますから逃げないでくださいよ。
また、次の台風が来るみたいです。ご自愛ください。
敬具
追伸
猫先生は珈琲はお好きですか? わたしはたまに飲みます。
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