第3話 その瞬間・・・

山咲さんが、お兄ちゃんの服を持ってきた。

「少し、ぶかぶかだけど・・・まっ、いっか・・・」

「お兄さんは、背が高いの?」

「うん、178センチ。池上くんは?」

「168センチ」

「私と変わらないね。私の服にしようか?」

冗談でも、それは言わないほうがいい・・・


こうして、山咲さんと出かける事になった・・・

「デートよ!池上くん」

僕の心の中にまで、突っ込みを入れないでほしい・・・

エスパーなのか・・・山咲さんは・・・


山崎さんの家を出た・・・

僕の行きたかったところと、彼女は言った・・・

となると・・・あそこしかない・・・

もしそうだとしたら、素直にすごい・・・

僕は、誰にも話していないにだから・・・


会話は殆ど、お見合いのような内容だった。

でも、詳しくは覚えていない・・・


で、目的の場所に着いたのだが・・・


「ここでしょ?池上くんの来たかったところ」

「・・・うん・・・」

確かにそうだ・・・僕が来たかったのはここだ・・・


今日、「自主休校」したのも、ここに来たかったからだ・・・


そう、プラネタリウム・・・

この町で、唯一の天文所・・・

この中の、プラネタリウムはデートスポットとしても、有名だ。


「さっ、いこ、池上くん」

「・・・うん・・・あっ、切符・・・」

「大丈夫だよ」

受付の男性の方と話をしている・・・


山咲さんが、手招きをする・・・

僕は山咲さんのほうへ、、行ってみた・・・

すると、背の高い男性が話しかけてきた・・・


「初めまして。優子の兄の誠です。妹がお世話になってます」

「いえ、こちらこそ、いきなりお邪魔して・・・すいません・・・」

緊張して言葉にならない・・・


日本語には、感謝を示す「ありがとう」と、謝罪の「ごめんなさい」があるが、

最近は、「すいません」でまとめられている・・・


自分で言っときながら、嘆かわしいい・・・


「お兄ちゃん、ここで働いてるんだよ」

山咲さんが言う・・・

ニコニコしている・・・兄妹仲は良好と見える・・・


「昭一くん・・・だったね・・・妹はあの通り、じゃじゃ馬だけど、仲良くしてあげてね」

「はい、こちらこそ。お願いします」

固まって、言葉にならない・・・


「池上くん、いこ」

「うん」

そうして、プラネタリウムの中に入って行った・・・

入って行ったのだが・・・

他には誰もいない・・・


貸切なのか?

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