第2話 変わりゆく時
「で、山咲さん」
「何?池上くん?」
僕は疑問を投げかける。
「おうちの方は?」
「留守」
「そう・・・って、まずいよ」
「どうして?」
「どうしてって・・・」
普通思春期の女の子が、同い年の男を家には上げない。
仲良しならともかく・・・
「大丈夫、君は人畜無害だから・・・」
褒めてるのか、けなされてるのか・・・
「ところで、山咲さんこそ、学校はいいの?」
「うん」
「どうして?」
「君と同じだよ。池上くん」
だるいということか・・・
「ちょっと待っててね。私服に着替えるから」
「うん・・・」
そっか・・・部屋着のほうが、リラックスできるか・・・
「お待たせ。池上くん」
「うん・・・ちょっと待て」
山咲さんの服を見ると、部屋着ではない・・・
どう見ても、「これから彼氏とデート」という格好だ・・・
「山咲さん、デート?」
「うん」
「誰と?」
やぼなことを訊いたと、自分でも思う。
思ったのだが・・・
「君と」
「あっ、そう・・・ちょっとまて」
「何?もしかして、パンツルックがよかった?」
「そうじゃなくて」
遠まわしに言ってもあれなので、率直に訊こう・・・
「どうして、僕と山咲さんが、デートとなるの?」
「暇だから」
「学校を、自主休校をしておいて、まずいんじゃ?」
「どうして?」
「だるいんでしょ?山咲さん」
「うん、でも・・・」
「でも?」
「私、今日は離したくない・・・」
なんのこっちゃ・・・
「僕の服がない」
「お兄ちゃんのを借りる」
『勝手に借りたらまずいんじゃ」
「お兄ちゃん、私には甘いから大丈夫」
覚悟を決めるか・・・
大げさなものでもないけど・・・
「・・・で、山咲さん、どこへ行くの?」
「君が行きたかった場所だよ・・・」
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