2.

 僕が存在するこの世界は”シコウ”と呼ばれている。何時から何故存在するのかは、主である僕にも分からない。ただ此処に存在しているという事が必要なのだろう。此処にはありとあらゆる生物が存在し、あらゆる文化が混在している。勿論人間もよりどりみどりだ。けれど争いは起きない。皆静かに思考しているだけだから。何をどれだけ考えていても誰も咎めない。異なる考え同士が出会っても決して争わない。ただ静かに言葉を交えるだけだ。


 僕も皆に交じって思考するが、幾つか皆と違う点がある。通常この世界には三日以上連続して存在することができない。その為人間の入れ替わりが激しいのだが、僕はその逆で”シコウ”以外では存在することができない。

 もう一つは主である僕の思考が止まった時”シコウ”もまた終わりを告げる、という点だ。僕は”シコウ”の主であり、同時に”シコウ”そのものでもあるらしい。


だから僕は思考する。


意味もなく、理由もなく、終わりもなく、


思考し続けなければならないのである。

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