3.

 思考し続けなければならない、とは言ったものの、主の思考というのは他人の思考に触れることも含まれている。此処に僕が存在し、誰かが此処に現れる限り”シコウ”に終わりは永遠に来ない。つまり僕も永遠に存在し続ける訳だ。


 「永遠とは一体何だろうか。」僕が呟くと、幾人かが集まってきた。

 「終わりがないという事でしょうなあ。」腹の出た中年男が答える。

 「しかしそれではあまりに安直。」神経質そうな青年が答える。

 「それでは始まり続けるというのはどうです?」利発そうな子供が答えると周りの大人たちが次々に頷いた。

 「成程その発想は無かった。」「終わりではなく始まりか。なかなか良いじゃないか。」「流石子どもね。考えが柔軟だわ。」

 皆思い思いに納得しているようだったが、僕はまるで自分の事を言われているようで少しどきりとした。

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